第42話 大森林開拓記 1

思い立ったが吉日――とジュディが言っていた――、翌日俺たち三人は、ラファエルに見送られて大森林に転移した。


 念の為、俺ではなくラファエルが転移魔法を使う。

転移テレポート

 

 立ち上った眩い光が薄れると、立ち並ぶ木々が目に入った。


「森だー! ……海が良かったです」

「海で何するんだ?」

「肌を焼いたり泳いだりとか、しないんですか?」

「海で泳いでモンスターに食われる事故は年に何十件も起きてるぞ?」

「じゃあプール作ってください」

「プール?」

「海の代わりに泳ぐ場所です」

「へえ、とりあえずこの辺に作ってみるか。――そういえばガーライルは?」

 

 俺とジュディは辺りを見回す。

 目に入るのは、木々ばかり。


「いませんね」

「ラファエルが魔法をミスったのか? 信じがたいな。……まあいいや、いてもいなくても大して変わらん」

「あなたみたいですね」

「俺、あいつよりは役に立つと思うぞ?」

「あっちのほうが大きいから荷物持ちにも弾除けにも使えますよ?」

「ねえ、お前にとって俺の存在意義って何なの?」

「…………」


 ジュディはしばらく悩む素振りを見せたあと、妙に明るい声で言った。


「――さあ、開拓を始めましょう」

「思いつかなかったのかよ!」


 近くの木から鳥が飛び去っていった。

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