第11話 魔力の性質と銃

こんにちは、トラウです。

今は魔法の杖を作るために絶賛作業中。狙いを定めやすいように、多少は馴染みのある銃の形にしようと考えている。実は日本人だった時は、モデルガンをコレクションしていたり、暇な時にはサバゲをしていたりしたのだ。なので、形はすぐ浮かぶし形だけなら加工は簡単だ。魔力を込めればすぐ形は弄れる。ただ、ひとつ難点なのが、属性石をどう取り付ければひとつの杖で、色んな属性を使えるかという点だ。未知の領域への挑戦だ。もちろんすぐに上手くいくとは考えていない。ということで、まずは魔力の性質について調べてみることにする。

魔力は流れやすい物質と、流れにくい物質、遮断する物質があると言われている。

基本的に、生物由来の物は魔力をよく通す。他にも、ファンタジー金属代表とも言える、ミスリルや、オリハルコンは魔力が流れやすい。

流れにくい物質は基本的に鉱物由来の物が多い。特に鉄は魔力を通しにくい。その為この世界では、皮鎧の上に、薄く鉄を貼り付けたフルプレートアーマーもどきが、主流の防具だ。

遮断する物質は1つしかない。こちらもファンタジー金属代表の、理外の金属とも称されるアダマンタイトだ。理外の金属と呼ばれる由縁は、魔力を全く流さないこと、なのに加工には魔力操作を必要とする事がある。

この世界における物質は少なからず魔力を持っている。なので、多少は魔力をながすことができる。しかし、アダマンタイトは魔力を多く含んでいるのにも関わらず、魔力を一切流さない。この特徴はかなり有用だと思うが、今の僕には手に余る代物だろう。いつかこの性質を活用できるようになりたいものだ。

そして、アダマンタイトは加工が大変難しい。魔力抵抗が強いのに、魔力操作によって変形させなくてはいけないからだ。アダマンタイトは融点がとんでもなく高い。その為炉の中で溶かそうとしても、その前に周りの炉が溶けだしてしまうようだ。まるで意味のわからない話である。その為、魔力操作によって変形させる必要があるらしい。

まぁ、ながったらしく説明をしたが、魔力は流れやすい物や、流れにくい物、全く流れない物がある。この性質から電気に近い性質を持っているエネルギーなのではないかと仮定した。

電気ではなく、生物が生産可能なエネルギー。そして、それを操り、変換することで、魔法が出来ると考えた。

その変換の仕方に干渉できるものこそ、属性石なのだと考えられる。つまり属性石に魔力を流し込むことで、その属性石の属性へと、魔力を変換できると考えれば、回路のようなものを組んで、どれかひとつの属性石にのみ魔力を流し込めるようにし、切り替え機構をつければひとつの杖で、色んな属性石を使い分けることが可能なのではないだろうか。

回路を組む、と言ったが、完全に魔力を通さない物質はアダマンタイトしかない。それを加工するのはまだ無理だと思うし、何より手に入らない。

なので、ミスリルと、鉄を使って作ろうと考えている。ミスリルは高価だが、全知の書庫によれば、錬金術で、銀に魔力を流し込み加工することでミスリルになるらしい。銀であれば、時間をかけることで、創造魔法で作り出すことができる。また、鉄も同様だ。属性石の方は創造魔法に魔力を込め続けることで、一応創り出すことに成功した。ただ、自分の持つ属性のものしか作れていない。そこら辺も、まだ不明の魔力の性質によるものだと考えている。

属性石の切り替え機構だが、杖をリボルバーのような形にし、その弾倉部に1つづつ属性石を込めることで、切り替えてみようと思う。物理的に切り替えるという原始的な機構だが、その分加工が容易だ。生産系スキルの練度が上がったら、他の切り替え方法を考えるのもいいかもしれない。

そんなことを考え、数日間メイス先生の訓練の後に生産を続けた。そして、遂にリボルバーもどきが完成した。放つのは弾丸ではなく魔法である。なので、トリガーは要らないが、属性石の切り替え用のスイッチにした。グリップ部から魔力を流し込み、1番上に来ている属性石に魔力を流し込み、魔力を変換する。そして放たれる魔法はより強力。しかも狙いやすくなっている。めちゃくちゃ便利だぜ、と思い、メイス先生に見せてみることにした。

「トラウ、お前は何てものを作ってくれるんだ。前代未聞だぞ。国宝になりかねないような魔道具だ。」

…は?ただの杖が国宝?

「何でですか?かなり簡単に作れるものですが。」

「阿呆。これによってどれだけ戦況が変わると思ってる。小型の杖ひとつで、多くの属性をより強い形で放てる。属性を切り替える手間こそあるものの、それもかなりシームレスに行えると来た。これを国の兵士全員に配備してみろ。国同士の力のバランスが完全に崩れるぞ。」

完全に失念していた。この世界は未だに国同士の戦争が起こる。この王国は周囲の国々とは不戦協定を結んでいるが、力を手に入れた国の上層部がどう動くかなんて分かりきったようなものだろう。

「しかもお前はそれを1人で創り出した。他の国や、この国からだって狙われかねないぞ。」

「あー、そうなりますか?」

「あぁ、確実だろう。なので、今日から剣術の授業をよりハードに行う。死にたくなかったら無理やりにでもついてこい。魔法の方も色んな魔法を使えるようになれ。」

「はい、わかりました。」

実に面倒なことである。のんびり生活を望んでいたのに、いつの間にかこんな訓練を受けなくては命が危ないようになってしまった。しょぼーんである。

はぁ、失敗だなぁ。しょうがないので、頑張ることにする。まぁ、魔法を使えるのは楽しいし、剣術の授業も辛いけど、どんどん上達できるので、達成感があっていい。頑張って命を守れるようになりたい。




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はい、今週二話目です。今週は週末にもう一話ぐらい更新するつもりぐらいです。

マイペースにのんびり行きます。よろしくお願いします。

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