第4話 ダントン村

◇◇◇◇◇◇◇◇

名前 マモル

種族 人族

年齢 25

レベル 1

体力 90/100

魔力 97/100

スキル 【温泉】

〈水魔法〉

水を生成し消滅することができる。

レベル1で最大1L

消費MP1(生成・消滅セットでも片方でも消費MP1)


〈火魔法〉

熱を操ることができる。

レベル1で1kgの水を最大36度に熱せられる熱を操れる。

消費MP1


〈土魔法〉

任意の鉱物を生成することができる。

レベル1で1種類最大1kg

消費MP10


〈回復魔法〉

あらゆる症状を癒すことができる。

レベル1で軽度の傷病の治癒

消費MP10


◇◇◇◇◇◇◇◇


もはや、詠唱は省略できるようになった。


MPの消費はデカイが、これは使えるな。


「ミミちゃん、ちょっといいかい?」


俺はそう言って、ミミのふくらはぎに右手をかざした。


「ヒール」


金色の光が患部を覆い、光が消えると傷がすっかり消えて治っていた。


「すごーい!!」


ミミが満面の笑顔になる。


「すげえな」


俺も自分で驚いて、思わず呟く。



「じゃあ、村へ帰ろうか?」


「うん!」


俺とミミは手をつないで、村へ向かって歩きだした。



しばらくすると、高さ5mほどの、丸太の柵で囲まれた集落が見えてきた。


村の入り口らしき所に、人影がある。


「お爺ちゃん!」


ミミが叫んで俺の手を離すと、その人影に向かって駆け出した。


「ミミ!」


両手を広げるその人の胸に、ミミが飛び込む。


「ミミ、心配したぞ。怪我はないかの?」


「大丈夫!マモルおにいさんが助けてくれた!!」


ミミはニカっと笑うと、俺の方を振り返った。


「あなたは?」


「マモルといいます。森の中でオオカミに襲われている所に、偶然出会いまして」


俺は、渾身の営業スマイルで言った。


「それはそれは、ありがとうございますじゃ。孫の身に何かあったらどうしようかと思っていた所でしたのじゃ」


ニコニコと笑顔で俺とお爺さんの顔を交互に見る、ミミの頭に手を置きながら言ってきた。


「いえいえ、私も道に迷って途方に暮れていた所でしたし、不幸中の幸いと言いますか、なんにしても良かったです」


俺は、なんと言えば良いのか分からず、しどろもどろに答えた。


「こんな田舎で道に迷われていたとは、さぞやお困りでしたでしょうの。お礼もしたいですし、まずは我が家においでください」


「あ、ありがとうございます」


これでなんとか、食料にありつけそうだと思い、俺は二人の後について村へと入って行った。



「そうそう、申し遅れましたが、わしはこのダントン村の村長をしております、ハサンといいますじゃ。よろしくお願いしますじゃ」


そ、村長さんだったの?!


どうりで、村人たちがいちいちお辞儀をしてくるし、俺のことを咎めないし変だなとは思ってたけど。


じゃあ、ミミは村長のお孫さんか。


「いえ、村長さんだとは知りませんでした。こちらこそよろしくお願いします」


俺は慌てて、ペコペコと頭を下げた。


「ハハハハハ。そんなにかしこまることはありませんじゃ。田舎の小さな村の村長なぞ大したことはありませんじゃ」



そうこうしている内に、家の前へと到着した。


「さ、むさ苦しい家じゃが、遠慮のう入ってくだされ」


「は、はい」


「ほら、はやくはやく!」


ミミに手を引かれて、家の中に入る。


するとそこは、すぐに居間になっていて、お婆さんがひとり立っていた。


「お婆ちゃん、ただいま!」


ミミが駆け寄っていく。


「まあまあ、おかえり。怪我はなかったかい?」


ハサン爺さんと同じことを聞いている。


やっぱり、相当心配していたんだな。


「う、うん。大丈夫!あのマモルおにいさんがいたから!」


それを聞いたお婆さんは、俺の方に顔を向けてきた。


「あ、あの。マモルといいます。森の中でミミちゃんに会いまして、村まで案内をしてもらいました」


「そうですか、ミミがお世話になりまして、ありがとうございますね。何もない所ですが、ゆっくりしていらしてね」


ん?なんでお礼を言われたんだ?


なんかお見通しな感じ?


「あれは、わしの連れ合いで、ハンナといいますじゃ」


「ハンナさん、こちらこそ押し掛けちゃいましてどうもすいません」


「いいんですよ。ミミがご迷惑をおかけしたんですもの」


「ミミは迷惑かけてないもん!」


「そうなの?」


「・・ウン!」


「ふふ。そうね」


「お母さんのところに行っていい?」


「いいよ。でも、さっき眠ったばかりだから、そ~っとね」


「わかった!」


ミミが抜き足差し足で、居間を出ていく。


なにも、ここからしなくてもいいのに。


あまりの可愛さに、思わず吹き出してしまった。



「腹も空いているじゃろ。夕飯を食べっていってくだされ」


「あ、ありがとうございます!」


渡りに船とはこのこと。


俺は即答した。


厚かましかったかな?


ま、いいか。


当てがあるわけじゃ無し。




そのあと、ハンナさんが用意していた夕飯を四人で囲んだ。



パンは固かったけど、スープと肉はうまかった。

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