第18話贅沢なお願い

―アムロ行きますターン


 既読。

しょじょ「『桃鉄』の『刀狩りカード』で『クトゥルフ神話』の『アザトース』の能力を奪う」

 既読。

しょじょ「『桃鉄』の『刀狩りカード』で『ジョジョの奇妙な冒険』の『ゴールドエクスペリエンス・レクイエム』の能力を奪う」


「ああ?『桃鉄』の『刀狩りカード』だと?どういうことだ?」

 なるほど。しょじょさんは『桃鉄』を相当やり込んでいる。この『ドラフト』の一人六枠の四位指名にこれを持ってきたのは納得だ。しかもこの使い方はすごく上手い。

「『刀狩りカード』ってのは指定した相手のカードを一枚か二枚奪う妨害系の効果を持っているんだ」

「これがダメっていうなら『ドラえもん』に二人の能力を全てカード化してもらうだけだわ」

「これは認めざるを得ないね。おおそうじ君、何とかしないと能力全て奪われちゃうよ」

「しょじょんところには『超スピード』はいねえだろ?しょじょが『桃鉄』のカードを使う前に『かめはめ波』で吹っ飛ばせばいいんじゃねえの?」

「『石ころ帽子』を被ってるあたしに『超スピード』は関係ない。でいいわよね?アムロ行きます」

「そうだね。僕はじゃあこれで」

 ライン送信。同じくおおそうじ君からもラインが。

「『刀狩りカード』とはよく考えたな。だがな、『ぶっ殺す』と心の中で思ったならっ!その時スデに行動は終わっているんだッ!」


「『グーグルプレイストア』でダウンロードした『ファイナル・ファンタジー』の『リフレク』で跳ね返す」

おおそうじ「『ジョジョ』の『ゴールドエクスペリエンス・レクイエム』でその事実に到達しない」


「つーか、『桃鉄』強いじゃん。俺様見直したぜ」

 おおそうじ君がそう言いながらしょじょさんを攻撃。


 既読。

おおそうじ「『ジョジョ』の『ホワイトスネイク』で攻撃。移動は悟空の『瞬間移動』を使うため回避は不可能とする」


「だーかーらー」

「おおそうじ君は『石ころ帽子』を何とかしない限りしょじょさんへの攻撃は不可能ってことだよ。『ゴールドエクスペリエンス・レクイエム』で守りは無敵でもね」

「それなら『地球』ごと、いや『宇宙』ごと消滅させようか?」

「いや、それは『多数決』で通らない。『ヴァニラアイス』や『ザ・ハンド』に『ラッキーマン』が味方に付けばありだと思うけどね」

「だよなあ。どうせ『キテレツ大百科』にも同じような道具あんだろ?」

「『真っ黒衣』って調べてみてよ」

「どうせ『石ころ帽子』の互換能力だろ?」

「まあね。とにかく『石ころ帽子』を脱がすことが出来る『デスノート』を選んでいる僕はいいけど、『操る』系の能力がないおおそうじ君がしょじょさんに攻撃をあてることは難しいし勝てないよ」

「そう言われると『ジョジョ』のスタンドに操る系ってないよな。うーん、『サーフェイス』は…」

「あれは能力が発動するために人形に触れさせるって条件があったよね」

「あとは『ジャスティス』か」

「あれもあたしには効かないよー♪傷をつけられないと発動しないもんねー♪」

「いやあ、よかったよ。『デスノート』を獲っておいて。能力としては素晴らしいよね。こんなに『操る』系として使える能力はずば抜けてるよね。他に『操る』系の能力って何かあるかな?」

「『ハンターハンター』のシャルナークかなあ」

「ああ、そうだね。『ハンターハンター』は『操る』系の能力は結構あるよね」

「なんで指名しなかったのかねー♪使える能力多いのにー♪」

「うるせー!チームおおそうじは強えんだあ!それにいざとなれば…。まだ誰も指名してないってことは『補強枠』で獲得出来るってことだぜ」

「その通りだね」

 確かに「補強枠」で『ハンターハンター』を獲得するのはありだ。「補強」は一作品と決まっているけど、順番は早い者勝ちだし、逆に焦ってその一作品を簡単に選ぶのも危険なことだ。むしろ僕は「補強」は最後に、遅ければ遅いほどいいと思っている。それは二人も同じ考えだろう。でも…。おおそうじ君は『石ころ帽子』を封じる能力を持っているのに…。気付いてないのかな?勝ち誇った表情のしょじょさんはバランスを上手く取りながら椅子をゆらゆら揺らしながら余裕をぶっこいている。

「何度も言わせんなよ。俺様を舐めるな。『グレンラガン』で確率を弄っても…ダメだろ?」

「だーめー♪ラッキーマンがいる限り確率では当たらないよー♪」

 ゆらゆら揺れるしょじょさん。

「『とある魔術の禁書目録』にも操作系能力はあるんだぜ。だがこんな時は…。は、はは、ははははははは…」

 いきなりおおそうじ君が狂ったような表情で笑い始めた。あれは『ジョジョ三部』の『太陽のスタンド』の時の笑い方か『ジョジョ四部』の『チープトリック』に憑りつかれた岸部露伴先生の笑い方のどちらかを意識してるのは分かるんだけど。どっちだろう。そしておおそうじ君からラインが届く。それしかないだろ。おおそうじ君。そして流石だよ。おおそうじ君。


 既読。

おおそうじ「『ドラゴンボール』の『神龍』にお願いして『石ころ帽子』を脱がす」


 スマホを見たしょじょさんの揺れが止まった。

「なかなかやるじゃない。おおそうじ。それにしても随分と贅沢な『神龍』の使い方ね」

 昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り、クラスメイト達もそれぞれの机に戻っていく。

「まだ戦いは始まったばかりだけどこれだけは言っておく。しょじょ。お前は俺を怒らせた」

「あんたが勝手に一人で怒ってるだけじゃないの?」

 『ドラフト』。これは最高のバトルだ。

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