第17話ドラフトの本質

―名礼祥ターン


 しょじょさんがいきなり切り札『UNO』を使う!

「はあ?『UNO』の『白いワイルドカード』?そんなことはこの『ドラフト』に指名された時点で調べてんだよ。俺様を舐めんなって言ってるだろ」

 これにおおそうじ君はどう対抗するのか?ワクワク。

 おおそうじ君がラインを送る。


「『ジョジョ』のスタンド『ヘブンズドアー』で『UNO』の『白いワイルドカード』に書き込む。『このカードにはどんなペンをもってしても文字が書き込めない』と」


 もちろん多数決をとるまでもない。すぐさましょじょさんがラインを送信。


「『ヘブンズドアー』が超スピードで書き込む前にしょじょチームは全員『ドラえもん』の『石ころ帽子』を被り、存在を完全に消す。音、臭い、感覚全てが認識出来なくなる」


「これでおおそうじの『ドラゴンボール』でいくら『気』を探ってもあたしのチーム全員見つけられないし、攻撃することは不可能。だよね、アムロ行きます?」

「その通りだね。いきなりまいったね。どうする?おおそうじ君」

「だから何度も言わせんなよ」

慌てることなくおおそうじ君、ライン送信。


「『ジョジョ』の『ゴールドエクスペリエンス・レクイエム』で『白いホワイトカードのジョジョのスタンドへの制限はその真実に到達しない』」


「しょじょの攻撃は俺様には通用しねえ。しかし、『石ころ帽子』はやっぱ分かってたけど厄介だな。何とかしねえとな。つーか、俺様にも同じような能力はあるし。『とある科学の超電磁砲』の『視覚障害』を使えば肉眼では見えねえぜ」

「僕は『デスノート』いるからね。『石ころ帽子』を脱がすことは出来るよ。でも『ラッキーマン』が常にラッキーフルパワーになっちゃったね。『白いホワイトカード』も制限なく使える。『ドラゴンボール』の『神龍』、いや、ナメック星の『スーパー神龍』が制限なく使い放題と同じってことだね。これはちょっとしょじょさん、強いよ」

 すごい!すごい!すごい!私にはこの攻防戦についていくのがやっとである!しかし、この三人の理論には全て納得である!

「はあ?『デスノート』?アムロ行きますも意外とぬるいんじゃない?ほい、ライン送信」


「『UNO』の『白いワイルドカード』に『デスノートには何をもってしても文字が書き込めなくなる』と記入」


「うわー。これもありだね。どっちみち『ドラえもん』がいる時点で『ソノウソホント』や『もしもボックス』あたりでも封じられるもんね」

 アムロ行きます君がそう言いながらスマホを弄る。


「『グーグルプレイストア』で『ドラクエ』をダウンロード。『モシャス』を唱えて『ドラえもん』になる」


「これで僕の陣営に『ドラえもん』の能力が加わるってことでいいよね?」

「あ、俺様も同じくだ。俺様んところも『モシャス』使えるし」

「二人とも何言ってんの?それ言いだしたら全員同じ能力使えることになるし。つーか、そんなこと言ってもしょうがないかあー」

 しょじょさんが絶妙な角度で椅子をバランスよく揺らしながらラインを送信する。


「『モシャス』を『凍てつく波動』で無効化」


「うーん、『ファイナル・ファンタジー』には似たような呪文なかったかな?『ラーニング』で一度受けた能力を学習するってことでいいよね?『ストップ』や『リターン』で『時を止める』『時を巻き戻す』、『バニシュ』と『デス』のコラボもいいよね。あ、『キン肉マン』のステカセキングがいたんだ」

「俺様も『コピー能力』は持ってるぜ。『とある魔術の禁書目録』の『幻影方影』は戦った相手の能力を複製しちゃうからな」

「だーかーらー。二人とも『コピー能力』目的なら『星のカービィ』を指名すればよかったんじゃないの?他人の能力奪って勝って『ドラフト』ってそういうんじゃないでしょ?あんんたたちは巨〇以外は入団拒否しますって奴らか!」

 た、確かにしょじょさんの主張は正しい。が、相手の能力をコピーする能力も立派な強さであるし、コピー能力は今ではよく使われる。

「分かってるって。しょじょさんの言い分も正しい。ただ僕もおおそうじ君もその気になればそういう能力を持っているよという意味だよ。それにしても『星のカービィ』はノーマークだったよ」

「俺様は『団長』が使える『ハンターハンター』で迷ったけどな」

 『ハンターハンター』の『団長』とは相手の能力を盗む能力の持ち主である。『ドラフト』では指名漏れされた名作の中の一つと言えるであろう!

 傾けた椅子を絶妙なバランスを取りながら小刻みにゆらゆら揺れていたしょじょさんがスマホの画面を見つめながらピタリと震えを止めた。今、しょじょさんの両足のつま先は床から浮いている。

「それじゃあ順番にやっつけていくわ」

 しょじょさんの無呼吸ライン攻撃が始まった。

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