ずっと、読めなかった

わたしは柊さんの大ファンです。でも、ずっとこれは読めなかった。作品紹介を読んで、娘のことを思ってしまったから。

 娘はドイツで育って10歳の時にアメリカに戻りました。性的な嫌がらせにはあいませんでしたが、アメリカ人の女の子も壮絶です。白人だらけ田舎で唯一のアジア人。「純粋な外国人ならチヤホヤされるのに!」何度もそう言ってました。決して教えてはくれませんでしたが、相当の思いをしていたのでしょう。真っ青な顔で学校に通っていました。どんなに聞いても心を閉ざすだけで何も話してはくれなかった。私は休ませたかったけれど、完璧主義の彼女はそうしなかった。「私が代わりになってあげられたらいいのに!」何度も思いました。私はすでに、アメリカ人からいじめられるのには慣れてるから。

 今は、楽しそうにしています。でもやっぱり私はいつでも彼女の顔色をうかがっています。彼女が何度「楽しい」と言っても、一生、彼女の顔色を探り続けるでしょう。

……柊さんの為のレビューなのに、こんなことを書いてしまってすみません。でもやっぱり……どんなに「今が幸せ」と言われても、後悔と自責の念を感じずにはいられないのです。

 この作品を読んで思いました。だからこそ、柊さんの作品が好きなんだ、と、これからも応援しています。

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