『日本人になれなかった』少年の心の痛みが、我が事のように鋭く突き刺さる

拝読している間じゅう、何度息が詰まったか分かりません。
狭い教室が世界の全てだったあの頃の閉塞感を思い出すと共に、主人公の受けた傷をまるで自分の事のように生々しく感じました。

長い外国生活のせいで日本語が上手く使えないということだけでなく、日本の空気そのものに馴染めないということ。
クラスメイトたちから『異物』と見做された主人公の、屈辱や憤りや遣る瀬なさ。
学校だけでなく家庭の中にも居場所がないこと。
徐々に心がひび割れていくのが、手に取るように分かりました。

溜め込んでいたものがついに爆発した後、主人公は繰り返します。「僕が悪いんだ」と。
腹の底から叫びたい。
君は悪くない!!!!
君は何一つ悪くない!!!!

心身を壊すほど辛く苦しいことばかりでしたが、手を差し伸べてくれるわずかな大人の存在が希望の光に思えました。
ラスト、大人になった主人公の選んだ道に、涙が出ました。
どうかこの先も幸せと祝福を。そう願わずにはいられません。

この物語を書ききった作者さまも、すごいと思います。
凄まじい作品を、ありがとうございました。

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