ブログ

1月17日

みなさん元気ですか、僕は元気です。

今日、家の近くのファミレスのキッチンの、アルバイトの面接に行ってきました。

店長の第一印象は少し怖そうな人って感じでした。採用かどうかはわからないけど、とりあえずこれ覚えてきてって事で、全メニューのスタッフの間で通じる呼び方と、本当の呼び方が書いてあるプリントを渡されました、食べ物のあだ名です。

僕はタケクンと呼ばれるのが好きだけど、お母さんは僕のことをタケちゃんと呼びます。

早くお金をためてプリンストン大学に入学したいです。そのための第一歩を僕は踏み出したのです。

頼むから僕に惚れないでください、惚れても僕には好きな人がいます。中学からの片想いです。プリンストン大学に入学できたらプロポーズするつもりです。

パンパカパーン、パンパカパーン、そうして二人は結ばれるのでした、めでたし、めでたし…


1月18日

やりました採用です、たぶんこれは、僕の知的な魅力のせいでしょう、食べ物のあだ名を全部おぼえたのです。

これで、僕のプリンストン大学入学は決まったようなものです。

今からプロポーズの言葉を考えておかなくてはなりません。シンプルに「結婚しよう」がいいような気がします。そして彼女も、シンプルに「はい」と答えてくれることでしょう。



「健史くん、今何してるの?」と美和子は会話が途切れると、僕によく訊ねる。

健史のブログが更新されてなくて、特に健史について話したくないとき僕は、「あつ森でもしてるんじゃない」と仏頂面で答えるのだった。

その日もいつものドトールで

「健史くん、今何してるの?」と美和子が聞いてきた。

「なんか、バイトやるみたい」

「なんのバイト?」

「ファミレスの厨房」

「へ~」

「それからプリンストン大学行くみたいだよ」

「はははは、面白いね」

「でもホントに行くかもよ」

「無理でしょ」

「だろうね」



1月23日 雪の子


しんしんしんしん降り積もる

瓦に雪の子降り積もる


しんしんしんしん降り積もる

僕の心を重くして


しんしんしんしん降り積もる

罪なき色に町を染め


雪の子無邪気に押し潰す

雪の子無邪気に転ばせる


さらさらさらさら溶けていく

瓦の雪の子溶けていく


さらさらさらさら溶けていく

僕の心を軽くして


さらさらさらさら溶けていく

町は自分を取り戻す


雪の子汚れた水になる

雪の子汚れた水になる

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