第12話 ビキニアーマーを着てもらう方法はないものか……?

「はぁ……。もうヴィーマーに戻ろうかな?」


 アルテー達の裸エプロン姿を見られたら社会的に死んでしまうことを改めて自覚した俺はため息をついた。


 生まれ育ったのはこの世界だが、今ではヴィーマーは俺の第二の故郷となっている。


 それにヴィーマーでの俺は、アレネスとそこに進攻を仕掛けてきた王国の両方でトップに近い権力を持っている。だからテレビやパソコン等が無くて色々不便でも、ヴィーマーにいた方が快適な暮らしができるだろう。


 ……まあ、その場合は戦いが起こればまず間違いなく駆り出されるだろうけど、俺だってこの一年間で戦いに少しは慣れたから大丈夫なはずだ。


「ええ~? マスターってば、来たばっかりなのにもうヴィーマーに帰るの?」


 俺の呟きが聞こえたようでアルテーとは違う女性が話しかけてきた。話しかけてきたのはアルテーと同じくらいの年齢で、黒に近い紫色の髪を後ろでまとめた女性で名前はマナという。


 マナはアルテーの幼馴染みで、俺が初めてヴィーマーに転移して来た時もアルテーと一緒に俺の艦獄ダンジョンシップに乗り込んで来ていた。そして好奇心の強いマナは今回この世界に来ることを楽しみにしていたようで、もう帰ろうかと呟いた俺に不満そうな目を向けていた。


「いや、あのな……?」


「こら、マナ。旦那様にそんな風に言ってはいけませんよ」


 俺がマナに何か言おうとした時、彼女と似た顔立ちと同じ色の髪の二十代くらいの女性がマナを軽く叱った。この二十代くらいの女性はマリスさんといって、マナの実の母親である。


 戦女は強くて美人揃いで巨乳な上、個人差はあるけど十代から二十代くらいで外見の成長が止まり、死ぬまで若い姿らしい。だから何も知らない人がマリスさんとマナの親子を見たら姉と妹と思うだろう。


 本当にチートな人種だよな、戦女って。


「ですけどマナの疑問は私も思いました。旦那様はここに帰ることを強く願っていたのでは?」


「ああ、それは一度来れたから次はもっと簡単には来れるからっていうか、その……」


 首を傾げて尋ねてくるマリスさんにそこまで答えてから俺は、彼女達の風に吹かれて今にも大事なところが見えてしまいそうな裸エプロンに目を向ける。


「……ねえ、マリスさん? それに皆も。裸エプロンをやめてビキニアーマーを着るつもりはない?」


「? 何を言っているのですか、旦那様? 旦那様からいただいた眷属の力を最大限に発揮するにはこの姿が最適なのは知っているのでは?」


 ……そう、そうなのだ。俺が彼女達に与えた眷属の力はかなり強力なのだが、その真価を発揮するには裸、あるいは裸に近い格好をする必要があって、あの露出度が高いビキニアーマーですら真価を発揮する足枷となる。


 そしてアルテーを初めとするアレネスの戦女達がなんとか眷属の力を活かそうと考えて目を付けたのが、俺がヴィーマーに転移する時に一緒に持ってきたメイドもののエロぼ……紳士の参考書の特典であったメイドエプロン。元々体が鋼より頑丈な戦女は防具の防御力はあまり気にしておらず、ビキニアーマーと同じくらい動きやすくてすぐに脱げることから、アルテー達はビキニアーマーを脱いでメイドエプロンに着替えたのだ。


 アルテー達ってば、裸エプロンになることにためらい無さすぎじゃないか?


 最高だ! ……って、いやいや違う違う。


 何度も言うがアルテー達の裸エプロン姿を見られたら俺は社会的に死んでしまう。実際ビキニアーマーに見慣れたヴィーマーでも周りの注目凄かったし。それだったらビキニアーマー姿の方がまだマシだろう。


 なんとかアルテー達に再びビキニアーマーを着てもらう方法はないものか……?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る