13: everyone is amazingly helpless right here
「あいつら見てるとさ、なんか絶望的になんねえ?」
セブンのシーチキンおにぎりを食いながら浅彦が聞いてきた。屋上は風が強い。 「あいつらって?」
俺は、浅彦がこういう意味不明なことを言い出すのにはもう慣れてたから、適当に聞き返してやった。
「校庭でサッカーしてる奴とか、体育館でバスケしてる奴とか、教室でダベってる奴とか、図書館で勉強してる奴とか、部活の昼練やってる奴とか」
「それこの学校のほぼ全員じゃねえかよ」
浅彦は食い終わったゴミをヒラヒラと振り回して、柵の外に投げた。ビニー ルがキラキラ光って、視界から消えた。
「な、絶望的になんねえ?」
「知るかよ。もっと分かりやすく言えよ」
今日はちょっとこいつの馬鹿話にもつき合ってやれそうな気分だ。別に特になんかいいことあったとかじゃないけどさ。こいつって、クラスとかではかなり浮いてて友達いねーとか言われてるけど、俺は自分から距離置いてると思うんだよね。なんでかは知んないけどさ。
浅彦は二個目のおにぎりを出して一口食った。またシーチキンだ。
「あいつら自分がなにしてるか分かってねえぜ」
その声があんまりマジな感じだったから、俺は驚いて奴を見た。
「フツーに学校行っててさ、クラスとかテキトーに友達みたいのがいてさ、暇な時はそいつらとツルんで時間潰してさ、なあ、あいつらなんのために生きてんだ?」
声は少しふざけた調子に戻ったけど、目がマジだ。俺は少しひいた。いや、ひいたっつーか、キた。だって俺も多分そんなもんだから。
「じゃ生きてる価値ないわけ? おまえは違うの?」
単純に聞きたかったから聞いたんだけど、浅彦は答えないで同じクラスの奴がやってるサッカーを観戦し始めた。
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