03: out of place

 俺って集団生活向いてないのかな。バカみてえに必死で喫茶店の準備してる連中見ると、なんか無意識に距離置いちまう。中学の時はそうでもなかったんだけど。

「だって来年受験じゃん! 最後の文化祭だぜ?」

 吉田が甲高い声で捲し立てる。こいつって、マジなんも考えてねえ。アホのくせに苦労なんかしねえんだ。アホだからか? じゃあ俺って苦労人なのかな。

 午後の授業は変な感じだった。一部の女子の提案でヨーロッパっぽい内装になった教室で、なんで保体なわけ?

 突然、後ろから紙が廻ってきた。生徒間の連絡網らしい。


『明日は六時に全員集合! 頑張って廊下の飾り仕上げよう! お客さんいっ ぱい来るといいね。友達とか呼びまくろう!』


 今度こそ、思いっきり吐き気がしてきた。ダチを呼ぶ? じゃあ浅彦でも呼んでやろうか? 弘明は言わなくても来る。つーかあいつ、二日で学校辞めたくせになんで来るんだろ。

「ねえねえ、天井君」

 HRが終わって教室を出ようとすると、クラスの代表っぽい(つか自分でそ う思いこんでる系の)女子が話しかけてきた。

「なに?」

「あの、文化祭さ、みんな頑張ってるんだからさ、天井君もちゃんと参加しようよ。巽君だって生きてたら絶対協力してくれるよ?」

 犯してやろうかと思ったけど、あそこが臭そうだったのでやめておいた。

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