青春と花氷

卯月悠凛

町長の日記

 あの戦争から、30年がたった。


 その間、ヒトとモノノケは、自分たちの行いを悔やみ、新たな梨浜町の建造へと、力を入れてきた。


 南と北で分割されていた地域は一つとなり、役所も一つになった。そして、この町からは、ヒトとモノノケで差別するような習慣もほとんどなくなり、徐々に、平和を取り戻してきていたのであった。


 前の継大祭が行われてから、400年が経とうとしている今、私たちが考えるべきは、この町の平和だけではない。この町と、モノノケの世界の平和だ。


 こちら側からそちら側に行く人などほとんどいない。だが、できることはしたい。


 そして、この梨浜町の更なる発展を目指す。これが私の役目だ。


 今回の継大祭を成功させ、住民の幸せを取り戻す。それまでは、この職を降りるわけにはいかない。


 最後まで、全うして見せよう。


6月15日

梨浜町長 阪上弘幸

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る