第11話 かすみの謎

遊園地から帰った三人。

ゆかとけんたはこれから作戦会議。

コタローのトイレを片付けて。


コンコン


けんた「来ました。」

ゆか「まっ、あがって話そっか。」

けんた「それで、なにを話すの?」

ゆか「なぜ、かすみちゃんなのか?なにが狙いなのか?って事。」

けんた「なにが…うーん。」

ゆか「出会いは自然なのよね。お互いあの道よく通るから。」

けんた「それだっ!」

ゆか「なにっ?」

けんた「僕セイヤさん見たの一回しかないんだよね。」

ゆか「でっ?」

けんた「僕ね、ほぼ毎日あの道通ってるのに、一回しか見たことないなんてさ。」

ゆか「そーいえば、かすみちゃんあれ以来全然セイヤさんに川沿いで会わないんだって言ってた。」

けんた「やっぱり。」

ゆか「なにが?」

けんた「セイヤさんはかすみさんと出会う時だけあの道にいたってこと。」

ゆか「それって。」

けんた「偶然じゃない。計画的だと思う。」

ゆか「なんでかすみちゃんなんだろう。」

けんた「それは〜、」

ゆか「あっ!もしかして!?」

けんた「えっ?心当たりでも?」

ゆか「かすみちゃんの家のソファーとテーブルなんだけど。」

けんた「ソファーとテーブル??」

ゆか「ソファーも何十万もするやつで、テーブルも同じくらいの高級品。」

けんた「かすみさんってそういう趣味?」

ゆか「親が買ってくれたって。」

けんた「すごい親だね。」

ゆか「そこよっ!」

けんた「どこっ?」

ゆか「かすみちゃんの親って多分お金持ちなんじゃないかなぁ。」

けんた「そんなことセイヤさんが出会う前からどうやって調べるの。」

ゆか「それは〜、」

けんた「無理だと思うよ。」

ゆか「いやっ!」

ゆか「大金持ちだったら?どっかの財閥の令嬢だったりとか。」

けんた「まっさかー、ドラマじゃないし。」

ゆか「それもそうねっ。どっかの令嬢がうちのアパートの裏で一人暮らしとかしてるわけないかー」

けんた「でも、もし親のお金目的なら、そのうち結婚の話でてくるかもね。」

ゆか「あっ、プロポーズされたって!」

けんた「でっ!返事したんですか?」

ゆか「さすがに早すぎるって。」

けんた「もう、時間かけてられなかも。」

ゆか「けんた、尾行するよっ!」

けんた「いつ?」

ゆか「それは〜、」

けんた「明後日!!」

ゆか「なんで?」

けんた「明後日18時ロイヤルホテルのレストラン!」

ゆか「なぜっ?」

けんた「どんな用事かわからないけど、車の灰皿付近に小さなメモがあって書いてた。」

ゆか「明後日って祝日よね。」

けんた「あっ、セイヤさんの仕事、土、日、祝日休みだって言ってた。」

ゆか「ビンゴ!!」

けんた「ゆかさん仕事は?」

ゆか「お姉ちゃんに頼むから平気。」

けんた「じゃあ明後日夕方、駅で待ち合わせって事で。」

ゆか「スーツとかある?」

けんた「ありますよ〜。スーツくらい。」

ゆか「じゃあスーツで。メガネとか変装できるものは私が用意するから。」

けんた「お願いしますっ。」

ゆか「じゃー、明後日。」

けんた「はい。おじゃましました。」


明後日の作戦はどうなるのか。

セイヤが本当に来るのか。

それは女性との約束なんだろうか。


ゆか「お待たせー。」

けんた「…えっ??」

ゆか「私よっ!あんたバカ?」

けんた「あっ、ゆかさん!」

ゆか「カツラよカツラ!ロングヘア!」

けんた「そっか髪肩くらいでしたよね。」

ゆか「可愛いでしょー。」

けんた「はい!確かに。」

ゆか「惚れないでよ〜。」

けんた「それは大丈夫です!」

ゆか「どーいう意味〜!!」

けんた「…いや、深い意味は…。」

ゆか「まっ、とりあえず私はオッケーねっ。あんたもこれ。」

けんた「えっ、カツラ?メガネ?」

ゆか「早く変装してらっしゃい!」


けんた「これで、いいの?かな?」

ゆか「ムッチリヘア〜!プッ!」

けんた「ねっ、おかし〜よねっ、絶対!」

ゆか「別人!知らないおっさん!!」

けんた「まっ、うまく変装できたし、行きましょうかっ!」

ゆか「プッ、こっち見ないで〜!」


パッと見どころか、よく見てもバレないくらいの完璧な変装でホテルへ。

一応レストランも予約をしておいたので、入れないって事はない。

とりあえずロビーで様子を見ることに。


ゆか「ちょっと、ビクビクしないでっ!」

けんた「あっ、うん。」

けんた「あれはー、」

ゆか「セイヤさん!あっ、もうレストランに入って行ったー。」

けんた「僕たちも!」


レストランの中を見渡す。

セイヤは一人で窓際の席に。


店員「いらっしゃいませ。」

けんた「えっと予約の…」

店員「ではお席にご案内致します。」

ゆか「あー、こっちじゃなくてー、あっちの窓際ってダメかしら?」

店員「窓際ですね。かしこまりました。」


ゆかのうまい誘導でセイヤの席のすぐ横に案内してもらったのだ。


ゆか「…ヤバ、近すぎたかも。」

けんた「少し声色変えて話しましょう。」


入り口から女性が一人

セイヤが手を上げた。


ゆか「ビンゴ!」

けんた「あれもう作動中。」

ゆか「あれ?」

けんた「ボイス…」

ゆか「オッケー。」


隣の席なので会話はよく聞こえる。


セイヤ「この前のお詫び。」

女「いつもそう。こうやってごまかして。」

セイヤ「ごまかしてなんかないよ。」

女「この前友達があなたを見たって。」

セイヤ「だから、あれはなんでもないし。」

女「私はもうあなたとは会わない。」

セイヤ「また、すぐ怒る。」

女「本気よ!!」

セイヤ「俺が愛してるのはお前だけだっ!」

女「すぐ、そうやって…」

セイヤ「年内にはちゃんとご両親にも挨拶に行くから。」

女「えっ、ホント?」

セイヤ「約束する。」


ブーッ ブーッ 


セイヤ「あっ、電話。」

セイヤ「はい。あっ、すぐ行きます。」

女「どうしたの?」

セイヤ「急な仕事でさー。」

女「いいわっ。この穴埋めはしてよね。」

セイヤ「ホント申し訳ない。」

女「私はコーヒーでも飲んで帰るわ。」

セイヤ「じゃっ!」


セイヤは足早に帰って行った。


けんた「僕たちも帰りますか。」

ゆか「そうねー。」

ゆか「…あっ!」

けんた「え〜っ!ゆかさん!?」


ゆか「あのっ!!」

女「えっ?私?」

ゆか「私怪しいものじゃないので。」

女「私になにか?」

ゆか「セイヤさんの事で少しお話よろしいでしょうか?」

女「えっ!!どーいうことっ!?」

ゆか「実は……」


女「やっぱり他の女の人にもそうやってたんだっ!許せないっ!」

女「で、私に出来ることあればなんでもやるわっ!!」

ゆか「じゃあ、まずは…」


女「わかったわっ!」

ゆか「じゃあ当日!」

女「私を騙した罰よ!任せて!」

けんた「修羅場だなっ。」

ゆか「当然よっ!」


第12話に続く







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