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「ご主人様は、どっちがお好みですかにゃ?」

 僕の目の前には、同じ顔をした女の子が並んでいる。


 ひとりは、長いスカートの、露出の少ないクラシカルなメイド。もうひとりは、太ももも胸元もあらわにした、いろいろな丈の短いフレンチなメイドさん。

 どちらも猫耳なのは置いておいても、僕に「どちらか」を選ぶのは至難の業だった。

 ロングタイプのメイドさんには、ロングなりの、セクシーなショート丈のメイドさんには、ショートなりの良さというものがある。


「ねえ、ご主人様ぁ」

「ご主人様、早く選んでくださいましにゃ」


 2人のメイドが僕に迫る。どちらか、どちらかを選ばなければ。


「ご……」

 僕がつぶやくと、2人は神妙な顔で僕の声に聞き入った。


「ご、ご主人様じゃなくて、坊ちゃんって呼んでほしいんだけど」

 僕の言葉に、2人はにんまりと微笑んだ。

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