第4話 突如現れた異国の飛び地

 昨夜は、居酒屋で一杯飲んで、うちに帰って、これまた軽くウイスキーのロックを一杯飲んで、寝た。

 寝たのは、22時頃だったと思う。

 かなり深い眠りについていたのではないかな。


 なぜか私は、時刻表を読んでいた。

JR監修のものではなく、JTBすなわちかつて国鉄監修だったほうの時刻表である。これなら、いくらか路線や区間の編集が変わっていても、いつの時代であれ、さっと必要なところに行ける。

 かつて出会った関係者に聞けば、繰りやすいように、特殊な紙を使っているとのこと。道理で、ページもめくりやすいわけだ。

 

 さて、それはいいとして、問題は、その夢のような状況。

 時刻表の最初のほうには、白紙の上にカラーで書かれた地図がある。これは、鉄道路線とバス及び船の路線を描かれたもの。一応、その地図の後ろのほうには、航空機の路線図もあった時期がある。ただ、こちらは点と線を完全に結んで、地面を通らないので、このような場所で表現するのに馴染まないというのがあったのか、今は掲載されていない。今は確か、なくなっている。あとは、東京、上野、新宿、名古屋、大阪、新大阪、岡山、札幌などなどの大きな駅のホームと設備の位置関係図、それから、現在の特急列車の路線図も描かれている。

さてさて、その時刻表なのだが、なんとなくめくっていたら、確か、紀伊半島あたりであったが、何とも言えない、変なことになっていた。


 鉄道路線については、特に変なことはない。

 国鉄末期に設定されていまだに見直しがされないのは問題だと思うが、幹線と地方交通線の色分けがおかしいということもない。


 おや?

 おや?

 あれれ??

 ありゃぁ???!!!


 なんと、紀伊半島の和歌山線や桜井線と太平洋側の紀勢本線の間に、赤字というより赤みのかかった色がかけられていて、そこには、なんと、


 「朝鮮民主主義人民共和国」


 と、ゴシック体で書かれていた。ちなみに時刻表の県名の文字は昔から明朝体で、ゴシック体ではない。

 それだけでも、異様極まる地図と化しているのだが・・・。


 よくよく見ると、高校当たりまでに使う地図帳で見たような、砂漠をあらわす点がいくつか密集しているところがあったり、何やらわけのわからない記号があったり。


 それらの記号が何なのか、砂漠をあらわす点の集積した位置が何なのか?

 さっぱり、わからない。


 いつからこの地域が、いわゆる「北朝鮮」になったのか?

 さっぱり、わからない。


 北朝鮮の人には申し訳ないけど、そんなものを何の予告もなく見せられてごらんなさい、そりゃあ、恐怖を感じますよ。こちとらは、そのような国境ができた「歴史的事実」なんてないわけだからね。それに、その国の「飛び地」であるにしても、何でこんなところにそんなわけのわからない「飛び地」があるのか、さっぱり、理解不能だ。

 というか、理解しろと言われる方が、無理だろうね。


 え、いつからこんなところに、北朝鮮が???

 何か、あったのだろうか?


 随分悩んでいるうちに、目が覚めた。

 薄明りを頼りに目覚まし時計を見たら、まだ午前3時半。

 電気をつけてパソコンのチェックでもすればよかったのだろうが、面倒なので、トイレに行って、もう一度、寝なおした。

 なかなか眠りにつけなかったが、気が付いたら、まったく別の夢を見ていた。

 そっちの内容は、忘れてしまった。


 結局、改めて起きたのは、午前7時過ぎ。

 あの地図のことだけは早く書いておきたいと思い、急いで、パソコンをあけてメールチェックだけして、こうして書き終えた次第。


                 (終 2019・10・30筆)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る