第4話‐丑の刻参り‐

 三人が話し終え、最後の一人である大野樹に順番が回ってきた。

 樹は怪談のネタ集めも一番積極的にしていたらしく、先ほどからウズウズしていて、やっと自分の番が回ってきたのが嬉しいようだった。


「これはネットで見た噂話なんだけどさ……」



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 丑の刻参りって知ってるでしょ?

 まあ多分日本で一番有名な呪いの方法だよね。

 夜中に神社に行って、釘で藁人形を木に打ち付ける、みたいな。

 細かい手順は色々あるみたいだけど、一番大事なのはやっぱり藁人形だ。


 この藁人形は別に他にも、人型をしたものなら何でもいいらしいんだけど。

 でも実際呪いがちゃんと相手のところに届いたかなんてさ、相手が死なないと分からないでしょ?

 でもね、ちゃんと相手に呪いが届いているかどうか、確かめる方法があるんだよ。


 呪いに使う人形には相手の髪の毛や写真、とにかく相手につながるものを人形にくっつけるんだけど、その時にちょっとだけ刃物かなにかで傷をつけるんだ。

 切った部分から血みたいな赤い液体が出てきたら、人形と呪いたい相手がつながってる証拠らしいよ。


 まあちょっとした都市伝説みたいなものなんだけどさ、そういう噂があるとやっぱり試してみようとする人がいるんだよね。

 Twitterで実際に試してる人がいたんだ。


 当然失敗してて血なんか全く出なかったんだけど、その後も色々な手段を試したみたいなんだよね。

 たしか、最初は着せ替え人形みたいなのに写真を貼りつけてて、次の日は写真を相手の髪の毛に変えて再検証してた。

 それから相手の持ち物や、違う種類の人形、色々な組み合わせを試しててさ。


 一ヵ月くらい経ったところで、「やっぱり本家に忠実にいこう」ってことで藁人形に髪の毛を入れて試したんだけど、やっぱり血なんか出なかった。

 そこでその人の実験も終わっちゃって、結局噂の真偽もわからないまんま。


 でもね、一部では呪いはやっぱり実現したって言われてるんだよ。

 毎日更新されてたその人のTwitterが、最後の実験以来全く更新されなくなっちゃったからね。


 まああくまでネットの噂話だし、どこまでほんとかわからないけどさ。


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