出会い

 あの日から数年が過ぎて

 春がこないまま

 凍った心に

 そこのない悲しみに

 一筋の光がさして、氷がそこだけ溶けた。


 丸く溶けた氷に

 緑が見えて、

 明日という広い大地につながる。


 明日は緑の双葉が

 芽をだして、

 きれいな

 花を咲かせてくれるような。


 あなたが誰だかわからない。

 顔も知らない、

 だけど、文字だけの世界で

 私を励まして、

 おはようと言葉を投げてくれる。


 それだけを心の支えに

 今日もまた、

 こんな風に大きく息を吸い込んで

 明日に向かって

 歩いて行ける。

 

 顔も見たことがないし、

 声も聴いたことがない。

 本当の名前も知らないし、

 何歳かも知らない。


 でも、

 おはよう・おやすみ



 言えるといいな。

 いつか、会えるといいな。


 それまでに女を磨こうと

 前を向ける、予感。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る