虫がなく

眠れぬ夜

どこからか

虫のこえが聞こえてくる。


やけにはっきりと、

鈴を転がすように。


いつの間にか

眠りに落ちるとき

なく声をわすれた


あれから二週間。

もう虫の声は聞こえない。

どこかへ行ったの?

それとも……


命の儚さと

輪廻を思いながら

夜中に耳を澄ます。


夜空を仰げば、

あのときとおなじ星座たちがそこにある。


世界は大きく変わってしまっても

空は何も変わらない。


あのときよりも

ほしがりません。


だからお願い、

戻ってきてください。


ここに今もいます、

あのときと同じように

あなたを思っています


あなただから

あなただけを。


一緒に虫のこえを聞きながら

夜空に浮かぶ星をなぞりたい。


死が二人を分かつまで……。

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