ほくろ

ねえ、どこが好き?

言いたいが

やめた。

代わりに聞いた。


どれが好き?


君の残したもの全部。

袋の菓子パンを全部食べた。


その指が好き、

言いたいがやめた。

言葉に乗せたら

どんな顔をするだろうか。


また横を向いて窓の外を見る。

あなたの首筋に

小さなほくろが

二つ並んでいる。

私は

そのほくろになりたい。

たかがほくろ、でもほくろ

一緒にいられる……

手を伸ばした。

何?

何でもない、言いかけてやめた。


夜のとばりが下りてきた。

さあ、帰ろう。


私はまた手を伸ばした。

今度はあなたの手を

取るために……

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