ミドリの輪

激しい雨の中を二人で歩く

砂利道が

足元を怪しくする

傘の花がここにも

あそこにも


早朝を狙って

一緒に行こうと約束した


紫陽花が揺れる

ミドリの葉には水滴がとまる


去年も来たね。

ああ、そうだなとスマホの画像を探すあなた


とても小さき緑の茅の輪は

青々として結び目から

つみたての葉が飛び出している


遠く鳥居の下で

待っている人たちがいる


さて、どうするものだったかなと

私は思い出そうと懸命なのに

何も

考えずに適当に

くるくると腰をかがめて回るあなた


早くしなさい、

その声に

せかされるように

ミドリの香りを吸い込み

八の字に通り過ぎる。


お先でした、

一本だけもらった葉っぱを手に

私は笑うカップルに

頭を下げる


どうぞ、ご無事に。

あなたもね。

頭を下げてマスクの下の笑顔は見えない。

ミドリの葉

コップの水に入れてみた


木の葉は背筋を伸ばしている……

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