甘くない ケーキ

もうすぐ誕生日だねと

あなたは尋ねる。


いやだわ、知っているくせに


うん、あと一か月なの。

何が欲しい?

何も……

私は思う、あなたがいれば

何もいらない


そばにいて、抱きしめてくれれば

欲しいものなど

何もない


そろそろ、甘くない

ケーキを探すのに

疲れたという。

最近ケーキやさんも少なくなった。


大きなモールに行くと

私が疲れる、人が多いのは嫌いだから。


ビターのザッハトルテを

注文したよと笑った。


いつものお店ね。

だけど、なぜ蝋燭の本数を聞くの

だろうか。

失礼だねと笑う。


怒るふりをしたというので

私が代わりにふくれてみた。

生まれ変われないし、また恋もしない。


あなたがいるとは限らない

世界に私は必要ないから。


来年も生きているとは限らない、

きっと この先

甘くないケーキしか食べない。

ワンホールを今年も悩んで

三日かかって

食べるのだろう。


愛してる、それだけください。

ケーキはしんどいけれど

愛してるはいくらでも……

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