夏だろうか

自由でいいじゃない、

誰かが言った。


今年は、何もかも

あいつ次第になってしまった。


すべて後回しの事柄だけが一斉に攻めてくる。

花々は、そんなことお構いなしにその色と

香りを強める。


夏だろうか、梅雨だろうがおかまいなしに。


人々が騒乱のさなかにいても

美しく開けば、捨てられ、切り取られた。


この恨みは来年晴らさせていただきます。

恐ろしい美しさと香りを振りまくはず。


私は、去年よりも数を増やして雨を待つ。

大きな葉を茂らせて、

梅雨空を彩る。


どうぞ、このままあいつがおとなしくしてくれますよう。

大祓いの神社で、お待ちしています。

雨でもお待ちしています。


傘の花を咲かせておいでください。

もうすぐ三十日ですね。

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