命を扱うSF

シリアスなテーマを含むSFを書くときに、起きている状況を説明するための描写と、心理状態を表現するための描写のバランスが非常に難しいなと自分でも書いていて思うのですが……本作はそのバランスが極めて優れているので、世界設定を最低限の文章量で的確に説明しながら、命のあり方に向き合うという非常に重厚なテーマに関連した心情も十分に描くという離れ業を実現しています。なんだこれは……そして二人の主要人物のエモーショナルなつながりが、あらゆる対人欲望が金さえあれば満たされてしまいそうな世界観の中で一際輝いていて素晴らしい。技術とエモの融合。

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