第16話 あの親子は・・
無事手続きも済み、飛行機に搭乗。
手荷物はショルダーバッグくらいなので、身軽なものだ。
後は10時間後にはイギリスだろう。
それよりも、先程のニュースが気になる。
このまま世界大戦に突入なんてならないだろうか?
何がきっかけで大きくなるかわからないからな。
◇◇
<刑事サイド>
杉田刑事は事件の再調査をしていたが、結果は同じだった。
自分の事務机に向かって書類を見ている。
「同じか・・」
そうつぶやいていると、事務所内での人の行き来が騒がしくなり、何やら特捜班が設置されるという話が上がっていた。
忙しそうに動いている人を捕まえて、杉田が聞いてみる。
「おい、どうしたんだ?」
「あ、杉さん。 実はですね、妙な事故か事件かわからないのですが、同じ死因で亡くなった人がいるのですよ」
杉田は黙って聞いている。
「それが1日で5人も亡くなっているのでね。 何かあるだろうということで捜査が行われているのですが、今から詳しく説明を受けるところなんです。 良かったら聞きに来てみますか?」
杉田に掴まった男はそう言うと、急ぎ足で移動した。
杉田も特にやることもないので、隅っこの方で聞いてみようと思い移動する。
部屋に入ると、結構な人数が集まっていた。
早速話が始まっていた。
「・・というわけだ。 一人は村井龍三。 こいつはどうしようもない悪(わる)だが、一応同じ死因ということと、亡くなった他の人たちと同じ中学出身ということでメンバーに入れている。 ただ、亡くなった岡本医師だが、拳銃を所持していた。 おそらく村井辺りとつながりがあったのではないかと推察している。 土手で亡くなっていた2人だが、こちらも同じ中学出身だ。
この関連を重点に調べてくれ。 ただ、死因が心臓破裂ということがわかっている。 外傷はほとんどない。 心臓付近に強烈な衝撃を加えられたことはわかっているが、それだけだ。 情報が不足しているが、病院の方から早急に調べてくれとの依頼もあった。 皆、よろしく頼む」
前方で話している部長が頭を下げると、みんなが立ち上がりそれぞれ散って行く。
杉田は聞くだけは聞いていたが、自分とはあまり関係ないなと思い、自分の机に戻って行った。
PCをオンにすると、メールが届いていた。
佐藤からだ。
メールを開くと、まるでオカルトかというような内容がびっしりと書かれている。
読むのに一苦労だなと思いながら目を通していった。
山本についていたマークはすでに外されていた。
山本茂は知っていたかどうかわからない。
そんな中、山本はイギリスのヒースロー空港に到着しようとしていた。
◇◇
<山本サイド>
ヒースロー空港に到着。
入国審査も特に問題なく、何の目的で? と聞かれたので、文学の参考で大英博物館までと答えると、ニヤッとして良い旅行をと言われた。
俺もお礼を言ってゲートを後にする。
大英博物館は無料で見学できるはずだ。
さて、そんなことよりも斬り裂き魔を見つけなきゃいけない。
だが、全く土地勘はない。
ただ、デス・ソードが導いてくれると言っていたと思う。
ならば特に焦ることもない。
観光してもいいが、目立つような行動はしない方がいいな。
宿泊施設は日本の航空会社系列のホテルを予約してある。
チップ制度なんてよくわからないしな。
とりあえずホテルに行って様子を見よう。
俺はそう思い、移動する。
移動は電車を利用した。
地下鉄なんかも利用してみるが、車両が日本より小さいんじゃないか?
イギリス人はでかい人が多いはずだが。
地下道もまっすぐに掘ってるようで、地震が来たら一発でダメだろうなんて思ってみる。
あ、でもイギリスは地震はなかったっけ?
聞いたことないな。
そんなことを思いながら、無事ホテルに到着。
受付に行くと、ホッとした。
なんと、日本語が通じる。
たった数時間なのに、早くも日本が恋しい感じがする。
部屋に案内されて、ベッドの上に腰かける。
デス・ソードを取り出してみて触れてみる。
・・・
特に何か情報が流れてくるわけではない。
ま、そんな便利グッズでもないだろう。
俺はそのまま大英博物館へ行ってみようと思い、ホテルを後にした。
◇◇
山本と入れ替わりで佐藤刑事が帰国していた。
早速、杉田刑事のところへ急いでいる。
佐藤は情報をいっぱい持って、ワクワクというと変な感じだが、とにかく杉田刑事に報告したくて仕方ない感じだ。
杉田は事務所で相変わらず書類整理をしていた。
時間は午前9時。
杉田がトイレに行って帰って来ると、若い女の子とその母親だろうか、刑事に連れられて通路を移動しているのを見かけた。
どこかで見たことがあると思っていると、思い出した。
最近、レイプ事件で事情聴取をしていた親子だ。
杉田も自分の娘がいるのだが、それと重ねて嫌な苦しい思いをしていたので覚えていた。
歩いている刑事仲間を捕まえて、その親子の事を聞いてみる。
「どうしたんだ、あの親子・・前に事情を聴いていたはずだが・・」
「えぇ、杉さんもご存知かと思いますが、先日亡くなった心臓破裂事件ですが、どうもあの被害者らしいのですよ。 それでまた任意同行をして事情を聞いているわけです」
「そうなのか・・」
杉田は軽く答えつつも、内実は驚いていた。
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