小話

そこも萌え(※会話文のみ)

「え……おまえ、自転車乗れないのか?」

「うん……恥ずかしいけど、運動神経悪くて……特にバランスとる系は絶望的」

「でも、自転車乗れないと、いろいろ困らないか?」

「いや、別に。小中高ってバス通学だったから」

「通学以外は?」

「通学以外?」

「どこか遊びに行ったりとか、買い物に行ったりとか」

「ああ、徒歩かバスか電車。でも、買い物はほとんどネットで済ませてた。楽だし早い」

「……遊びは?」

「遊び? 家でプログラム書いてたけど?」

「……そうか。それがおまえの遊びだったのか」

「吉野は何で遊んでたの?」

「……ごめんなさい」

「え? 火遊び?」

「……あながち間違ってるとも言えないが、とりあえず、警察の世話にはなってないから」

「ああ、そう。それならよかった」

「しかし、自転車に乗れないとは……どこまで俺を萌えさす気だ……」

「え? 燃え? ……まさか、俺に自転車マスターさせるつもりか!?」

「いや、しないしない。そんなつもりはまったくない。でも、俺の後ろに乗れるようにはなれよ」

「それくらいは俺だってできるよ。……こうだろ?」

「そうそう。でも、走ってるときは俺につかまって、できるだけじっとしてろよ」

「つかまる……どこに?」

「うーん……俺の腰に両腕回してるのがいちばん確実かな」

「……こう?」

「そ、そう……」

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