第18話 母にまたまた男性の話

 私が小学校四年生になる頃には、もうほとんどパパは家に帰ってこなくなっていたので、別居したようなものだったのだろう。


 その頃から母は、他の男性をチラつかせるようになった。


 そして私に対して、嫌がる事は許さないという圧力をかけ始めた。


 それはパパの悪口を絡めながらの「嫌なら出ていけ」「あんたはパパと暮らして乞食になればいい」などの脅しと、更に嫌な顔をしないですんなり受け入れろという圧だった。


 今書いていて思い出したが、そういえば母は良く口癖のように私に「嫌なら出ていけ」や「乞食になればいい」は言っていた。

 さすがに小学四年生でそれを言われて「わかりました」と言って出ていく事は出来ないし、家を追い出されるのも嫌だと恐怖していた。


 一通り私を脅した後に母は恋バナを話す女子高生のように私に男性の事をはなす。

 それを私は嫌な顔しないで聞いてあげる。


 それが宿題や勉強の代わりに夜、家でする私の日課だったのだ。


 パパのいない家の中では、母の相手をしてあげるのは私しかいないのだ。


 私は母の事は好きでも嫌いでもない。

 興味がない、が一番近い。


 だから母が誰かと付き合うというのも、あまり興味がないのだが、私の将来の生活に関わってきそうなので聞き流す事も出来なかった。


 私に将来結婚するならば、普通のサラリーマンにしろといつも言っていた母だが、今回母が選んだ相手はどうやらサラリーマンではないようだった。


 ただ、実家が家持だという事はしきりに言っていた。


 まぁそれが義父事、ターロなのだが、奴はサラリーマンどころか働いた経験がほとんどない遊び人だったのだ。


 それも私にとってはどうでも良いことだった。

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