第3話

まあもちろん俺の選択肢は一つだけなんだけどな

「あれ?ここは天国かな?」

「何言ってるんですか?先輩」

はい。もちろん私の選択は萌え死ぬ一択です。

「いや、琴音が可愛すぎてさ」

「もう!先輩ったらいつもそういうこと言う!」

そう言いながら赤面して文句を言ってくるのは俺の後輩の神崎 琴音(かんざき ことね)だ。髪色は水色でツインテールにくくっていて、目の色は少し茶色がかっている。身長は162cmと女子の中では高い方であり、高校の制服であるミニスカからでている生足は童貞には非常に目の毒である。

「どうしたんですか先輩?そんなにぼーっとして」

「うん?ああ目の保養にしてた」

「もう!先輩ってばエッチなんですから〜」

「よいちゃん!」

そこで突然、凛にしては大きな声で呼ばれる。

「おおどうした凛。そんな大きな声出して」

「あれで大きいんですか?」

「凛にしてはな」

「もう!私を無視しないでってば〜。何か私に言いたいことがあるんじゃないの?」

「あ、あ〜それはなんでもないや」

言えない、危うく告白しようとしてたなんて絶対に言えない。

まあそのせいで後輩と幼なじみからジトーっとした目つき(ごほうび)をいただきました

「そ、そんなことよりさ早く学校行こうぜ!俺は今年皆勤賞を目指してるんだよ!」

「でも先輩いつも授業中寝てるじゃないですか」

「うぐ・・・皆勤賞は学校にしっかり遅刻も欠席もせずに登校すればいいだけだからいいだろ?!と言うかなぜ琴音が俺の授業中の様子を知っている?!」

「先輩のことで私が知らないことなどこの世にありませんから」

「え、何それ怖い」

「もう!無視しないでてば!学校行くんでしょ?」

そう言いながら凛は俺の右手を握ってきた。

「え?!」

「む・・・」

俺はもちろん驚いたんだが琴音も何か思うことがありそうだ。

「そうですね!早く学校行きましょう!」

そう言いながら今度は琴音が俺の左手を握ってきた。わーい両手に花だー。

「琴音ちゃん?よいちゃんは両手塞がってると歩きにくいと思うんだ〜」

「ああ〜それなら凛先輩が離せばいいんじゃないですか〜?」

この言い合いさえなければまあこの光景もいつものことなので見慣れているのだが。

「いいからさっさと行くぞ」

「「は〜い」」

そんなこんなでいつも通りの騒がしくも充実した日が幕を開けるのだった。

少なくとも今この瞬間はそう思っていた。まさか今日、6月28日に俺のこれからの人生が大きく変わる出来事が起こるなんてこの時は思いもしなかった。

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