第50話 こんな風にして予定が変更される日もある

 いつもより腰が軽い清々しい朝を迎え今日も1日が始まる。

 ベッドで寝ている恋人達に回復、状態回復、浄化を十分に使ってから朝食の支度。

 と言っても朝からガッツリ食べられる人も少ないので、肉は薄切りにしてたまごと炒めただけ。

 ガッツリ食べる人……レオーナとアマルディア用に鶏の胸肉を熱操作で熱しながら、大量の野菜をモリモリ切り刻んでいく。


 料理人の能力か補正か学習能力向上なのか知らないが、最近めっきり包丁使いが上手くなってきて、切ったキュウリやトマトの向こう側が透けて見えるくらい薄切りできるようになってきた、でも8人分とか面倒くさい。

 そうだよなんで気付かなかったんだ、ピーラーとかスライサーを作ればいいんだよ。

 メモ代わりの木版にナイフでピーラーとスライサーと単語を刻み再び収納してカットの続きを。


「おはようシバ君、手伝うわね、ふぁ……っふぅ〜」


 小さくアクビをしながらネネが土間に降りてきた。


「スープ作るから、お肉と野菜おねがーい」

「あいよー」


 調理台の上に倉庫から肉とスープに適した人参、玉ねぎ等の野菜を出していく。

 ネネはありがとーと眠そうに言って魔法を使った。


「仮名称、現象操作」

「へっ?」


 ネネの言葉と同時に寸胴鍋に湯が満ちて、調理台に乗せた材料はみるみるうちに変化していった、肉は柔らかさが失われ干し肉のようにカチカチになり、野菜は枯れたわけでもないのにシオシオに萎びた。

 そしてそれらの材料は端から消滅するかのように粉末になり、鍋の湯の中へと飛んでいった。

 大量に出した肉や野菜はほんの十数秒で完成したスープへと変わっていた、ネネが披露した新魔法によって。


「シバ君、私ねいっぱい頑張ったの、だからいっぱいご褒美欲しいな」

「ゴクリ……」


 唇に人差し指を添えて艶かしくおねだりしてくるネネの強烈な色気に性しょ……青少年も我慢の限界です。


「ここじゃみんなの安眠妨害になるからな、裏の小屋に行こう」

「うん」


 ネネを横抱きに抱き上げると特性化を使い空いた手でドアを開けて昨日作ったばかりの小屋へと入る。

 イスとテーブルを収納して予備の巨大(自作)マットレスを出してネネを横たえて覆いかぶさる。


「朝で時間ないからって手早く済まさないぞ?」

「うんいいよ、来て」


 当然、みんなが食事と出発の準備を終えて呼びに来るまで、俺は小屋でネネを美味しくいただいていたので2人して朝食を食いっぱぐれた。

 それでも後悔はしていない、男には食事よりも大切ないただきますがあるからだ!!


 しかし、魔法については完全に追い抜かれたな。


 △△▽▽◁▷◁▷


 腰の抜けたネネを改造して快適にした背負子に座らせて、2人して倉庫から取り出した食事を取りながら7人でダンジョンに向かって歩く。

 この背中の人1人分の重みが愛の重さなのか。


「ふぅー、ごちそうさまごっつぉーさん


 ネネの作ったスープは透き通るコンソメスープで、あれだけ粉末の材料を入れたのにドロドロとしていなかった。

 代わりにハンバーグのような肉団子が具としてあったので、液体に溶ける味や栄養はスープになって肉等の溶けない分は固めて食べるように工夫してあった。


「あの一瞬でここまで見事なコンソメと肉団子のスープを作るとは、料理人持ってる俺より美味い料理を作られた……完敗だよ」


「うん、料理は私やヴェルカちゃんに任せて、シバ君はやりたい事をやってくれればいいから、だって君はいつだって誰かのために戦ったり働いたりしてるんだから」


「そうねー、シバ君ってエ○チ以外で自分の欲望のために行動する事ってないわよね」

「うむ、そなたにはもっと私を組み伏せて力ずくでねじ伏せて荒ぶる性欲に任せて無理矢理犯すようにして抱いて欲しいものだ」


 レオーナ、ここにいる全員は知ってるからいいけど、隠れドMっていう本性が隠せてませんよー?

 いつもは気高く凛としていて美しいレオーナだが、夜だけは力ずくで一方的に致されたり命令されたりするのを好む。

 最初は激しいのが好きなんだなと思っていたのだが、回数を重ねる毎に徐々に押さえつけてとか自分を貶めるような発言をする事が増えていった。


 俺も最近、エロ問題児からの無礼や人間関係の爆弾がいつ爆発するか等でストレスをためていたので、ついレオーナの誘いに煽られて激しい言葉遣いと行為をしてしまった。

 そしてその晩、レオーナはいつも以上に乱れた。

 さらには俺の○奴隷にしてくださいと、いつもの話し方とは真逆の丁寧な言葉遣いで懇願してきたので、奴隷商人の能力で再び俺の奴隷にした。


 昨夜に至ってはエルネシアと同じハートマークの刻印を望んだのでレオーナの下腹部にも刻印、それを見た他の5人も希望してきたのでハートマークでマーキングした。

 ミツミも男性恐怖症の影響で言い出せなかっただけで、俺の恋人になりたかったのかもしれない。

 詳しい話しはレオーナ達4人と同じで聞いてないが、男性恐怖症なのに俺には抱かれに来ているので強い思いがあるのかもしれない。


 ただ1つ問題が起こった、俺的には問題だったのだがみんなには歓迎された出来事が。

 恋人のエルネシアにハートマークを刻んで恋人の印とした、その後奴隷になったレオーナにハートマークを刻んでしまった。

 ネネ達5人にもハートマークを刻み終えた瞬間、ハートマークがピンク色に光だし7人それぞれの全身を包み込み……鑑定で見ると、永久伴侶奴隷というわけのわからない状態に変化していた。


 永久伴侶はいいけどそこに奴隷と付くと、と我に帰った俺がまた奴隷商人の能力でみんなを奴隷からのみ解放しようとしたのだが、誘惑されて最初の時のエルネシアのように奴隷で居る事のメリットをベッドの上でわからされた。

 なので今ダンジョンに向かっているブラックマのメンバーは一般人で主人の俺と、伴侶で奴隷な恋人が7人というおかしな状況になっている。

 事情を知らない人間に鑑定(人)をされたらと思うと笑えない、見たままの情報だけでどんな非難をされるのやら。


「なあ、鑑定(人)を防ぐ方法ってないのか?」


 自分も知らないから誰か知らないかと、メンバー同士でも顔を行き来させているが、誰からも返事が……


「犯罪者系の職業に隠蔽とか偽装っていう能力があるから、それでできる」


 ないかと思われたが、最年長疑惑のあるアマルディアから答えが帰ってきた。


「ただ犯罪者か職業は1度条件を満たすと強制的に転職させられて、罪を償うまで変更されないから」


 だから答えたくなかった、だけど俺のために答えたか。

 確かに今の村では全て共有財産みたいなもんだし、犯罪者になるなら性犯罪や暴行殺人等の凶悪犯罪しかなさそうだからな、日本人の倫理観を持つ身としてはできないな。


 試しにセクハラしたら性犯罪者とか出ないかなと全員の上下部分にすったもんだではなく、ふれてもんでしてみた。


 痴漢

 偽装 知覚を誤魔化す

 隠蔽 知覚され難くなる


 流れでミツミの体を揉みしだいたら性犯罪者になっていた。

 明るい場所だからなのか男だからなのかは不明だがそんな考察は後回し、即座に謝罪したのだが許すには条件があるの何でもと言ってしまった。


「休憩所で、みんなと一緒にしてくれたら、発情しちゃったのを鎮めてくれたら、許します」


 このあと目茶苦茶、夕方までエイトプレイヤーした。

 この日の冒険は中止になったが、少しだけミツミと仲良くなれたし偽装と隠蔽で鑑定に別の情報を流せるようになった。

 感謝と謝罪の気持ちを込めて、ミツミが前後不覚になっても攻め続けた。

 綺麗な顔が台無しになっていたが、別の方向で満点の表情になっていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る