第39話 新メンバー・交代
ダンジョン初挑戦を前に訓練生として最後の休みの日、俺とエルネシア達6人になぜか連れて来られているウサギ獣人の訓練生。
彼女の名前はミツミ。
訓練生にはアンディとパトリオットという15歳のスケベコンビが居て、この2人は異性にモテるためだけにダンジョンに行くと言っているバカらしい。
スケベコンビは女と組ませると良い所を見せようと下心のみで行動するので、隊列も連携もお構いなしに突撃するだけの猿に成り下がる。
ただでさえ人数の少ない冒険希望者なのでクビにするより、訓練で矯正する方法をレオーナは選んだ。
その甲斐あって男だけで行動している間は、男性チームのリーダー達年長者の指示に従うようになった。
だが1人でも女がいると……
なので俺と恋人のチーム(現在無名)、男性のみのチーム・ヒーローズ、女性のみのチーム・バルキリーに分けるしかなかった。
予定外のチーム分けに男には戦士、後に騎士になって盾職をする者が多く居て、逆に女には戦士が1人しか居なかった。
そうなるとバルキリーのメンバー構成が戦士1人、探索者(予定)1人、斥候3人、魔法使い2人、僧侶1人とかなり偏った編成になってしまいまともに機能しないと予想できた。
ヒーローズの編成は戦士3人、探索者(予定)1人、斥候1人、魔法使い2人、僧侶1人と、かなり近接戦闘職のみが増えているがバランスは良い。
せめてあと1人バルキリーに戦士を入れないと、盾役が足りずに下の階しか周回できないチームで終わってしまう。
村人の人数が限られている今、なるべく早く上階まで行って安定して勝てるようになってもらわないと、彼等に冒険させる意味はない。
むしろ村で働いて貰う方が貢献できるだろう。
村人に事情を話して戦士に転職可能な女性が1人見つかったのでバルキリーに編成。
溢れた1人は人数の多かった斥候から、男性恐怖症のミツミが選ばれて俺のチームにレオーナ達が引っ張って来た。
「今後男の姿をしたモンスターが現れないとも限らないし、戦闘中に我等やヒーローズが近付いたと気付いて動けなくなったら死ぬのはこ奴だ。なら最初から1人だけだが男が居るチームで戦わせた方がマシというものだ」
「なんでモンスターとの戦闘を希望したんだとか思わなくもないが1つだけ言っておこうと思う、モンスターを楽に倒せるようになったらモンスターよりも弱い人間の男なんて怖くなくなるから頑張ってくれ」
オトはまた旅に出て新たなウサギが入って来たと思えば、直線で100メートル以上離れるか曲がり角までしか近付いて来ないチキンだった。
男性恐怖症なんて本人の心の問題だから、
配慮内容は不用意に近寄らない、声をかけて許可を得てから近付くとかだろう。
うちのチームは騎士系3人 魔法使い系2人、回復役1人、将来性不明の不安な斥候1人、多職業・仕事過多社畜系男と、なかなかバランスの取れた一行ではなかろうか。
名前なんだっけ、ミツミだったか、あのウサギが探索者になれば俺抜きでもダンジョンワープ可能になるし、他の斥候系になったら隊列の前後に位置すると索敵なんかが楽になるだろう。
連携確認なんかをしたかったから7階まで走るつもりだったんだが、あいつボス部屋はどうするつもりなんだ?
「っはぁー……、人生って計画通りに進まないもんなんだなー、この年でそれを心底実感する日々を送るとは思っても見なかった」
「多分この世界だと、誰でもそう思ってる」
『うんうん』
感情の薄そうなアマルディアに指摘されるくらい、人生ってそんなもんなのか。
むしろ長寿ゆえの人生経験の多さからの指摘なのかもしれない?
エルネシアとネネだけでも16階まで行けてたので、1階は最短距離を歩いてボス部屋に到着。
ミツミは最後尾に並んでボス部屋に入ると、まだ開いてない出口の前まで迂回して走って行った。
魔法陣から現れた塩太陽を握り潰すと次の階へ。
ドロップアイテムはそのまま手の中に出たので倉庫に収納、捨てる理由もないからな。
ミツミはまた迂回して隊列最後尾に並んでボス部屋から出てきた。
「はぁー……並ぶだけ頑張ってると思うしかないか、ヴェルカ」
「はいはーい」
「ミツミに伝言、最後尾で後方からの襲撃に警戒してモンスターが来たら足止めするようにって」
「わかったわ」
人当たりの良いネネとヴェルカのどちらかに伝言を頼むかと考えて、小柄な方が威圧感が少ないかとヴェルカに任せた。
あと緊急時になっても直ぐには回復役の出番は回って来ないからだ。
△△▽▽◁▷◁▷
午前中に7階まで攻略を終えて8階の入口で昼食、メニューは固い丸パンのハンバーガーに野菜と果物のミックスジュース。
ハンバーガーだけだと野菜が足りないのでミックスジュースを作った。
それだけだとジュースじゃなくてスムージーみたいな粘度なので水で割る。
「希望した村人には新しい料理を考える仕事を与えたらどうかと思うんだよ。俺の持ってる日本のレシピなんて大して多くないからさ、ダンジョン込みで近くで得られる食材限定にはなるが」
「だったら料理店を作って任せてみない?」
ネネから面白そうな案が出てきた。
「シバ君のレシピは全部覚えて貰って料理店を始めて、人気の定番料理と自分達で味見して問題ないと思った試作料理の両方を出すお店にするの」
「なるほど、調理方法の研究もするだろうし、出した料理は注文が入る入らないで評価も判断可能なのか」
タイミング悪くハンバーガーを齧ってた俺の代わりにゼオラが話しを繋げてくれた。
「丁度良いしレオーナ、ここから先のチームの指揮を前面的に任せたい」
「了解した、そなたの事も存分に使いこなしてみせよう」
「理由は聞かないのか?」
「なんでもかんでも納得しないと動かない動けないような小物ではないからな、それに
良い女過ぎて、どう見てもレオーナが主人公の器なんですけど?
こんな世の中だから、最大戦力の俺が指揮するよりも戦力として出る方が有効だからな。高い知性とカリスマを持っているレオーナに任せるのが最適だと思っただけだ。
レオーナがイケメン女子な姿を見せている間に全員食べ終わったのでコップを回収した。
ここからはレオーナ指揮の下、ダンジョンを進む。
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