第36話 ヴェルカと午前休

 休日ってもなにしようか?

 日本にあった娯楽がない世界で、原始的な玩具では満足できない体で、一体どう過ごせばよいのやら?

 とりあえず家でゴロゴロしながら考えるか。


「おーい、シバくーん」

「ん?」


 家に向かう途中で呼ばれて振り返るとヴェルカが手を振って俺を呼んでいる。

 よし、イタズラしよう。

 変身はしないが全力で走り超高速でヴェルカの背後に回り込むと、その耳にふっと息を吹きかけた。


「ひゃわー! もうシバ君、イタズラしちゃメッだよ」


 このお姉さん、可愛い。

 顔を赤くして人差し指を立てて、幼児向けのお説教をしてくる。


「こめん、次からは別のコミュニケーションを考えるよ、息を吹きかけるんじゃなくて甘噛みするとか」

「だ・か・ら、そういうのはベッドの上だけにしなきゃダメよ」

「……ああ」


 右腕にしなだれかかって耳元で囁かれてドキッとしたので俺の負け、素直に言う事を聞くとしますか。


「それで、なんの用だったんだ?」

「あのね、シバ君だったら僧侶になる方法を知ってるんじゃないかなって思って、ほら、ね?」

「ああ、そういう事」


 総職系男子については言葉を濁したが、ヴェルカは俺が多数の職業を持っているから手に入れた方法を覚えているか、条件を推測したんじゃないかって思ったんだろう。


「些細な事でも毎日継続して神に祈るなり感謝を捧げると良いぞ。これまでの人生がどうこうじゃなくて、今日は服を着ていられた、食事を取る事ができた、雨風に困らない家がある、生きている、健康だ、家族や仲間が無事。世界がこんなになったのは避けられない運命だったと割り切って、今生きている事に生活できている事に感謝して祈る、あとは神のみぞ知るというやつだよ」


「なるほど」

「それで、村はちゃんと動けてる?」

「ええ、どんな村にする予定なのかは選んだ村長夫婦にちゃんと伝えてあるわよ。村長夫婦もエルフだから地下水脈を見つけて井戸の場所も簡単に決められるし、下水道もあとはスライムを見つけてきたら完成よ」

「はっや」


 魔法のある世界で90人も居れば地球の何倍も早く終わるか、ラノベが大体そうだしな。


「そうだ、ヴェルカ今仕事ってある?」

「私は午前中は休憩になってるけど、どうして?」

「俺、今日は丸1日休日だからさ、暇なら一緒に休憩しないかってね」

「嬉しいお誘いね、喜んで」


 指を絡めて手を繋いで、俺達は家に帰った。


 ヴェルカ。

 150後半の身長に恋人の中で2番目に大きな胸と敏感な体をしている。

 1番胸が大きいのはネネで、1番敏感なのはエルネシアだ、超敏感ちゃんだ。

 戸締りしたら早速キスをする。

 まずは普通に唇を触れさせるだけ。

 ヴェルカは村人の服じゃなくて白のワンピースだ、仕事がないから汚れてもいい村人の服じゃなくてワンピースだったのかと今更ながらに思う。

 そのワンピースの上から胸を撫でるに近い弱さで揉んでいく。

 2人の息が次第に荒くなり、キスも相手の口に舌を入れて絡めていく。


 こうして俺の休日は恋人との逢瀬から始まった。


 △△▽▽◁▷◁▷


 午後も近くなり昼食にしようと村人の服に着替えたヴェルカ。

 だけどまだ肌は興奮に赤く染まったままで、つくため息は熱く、汗に貼りついた髪や服までが色っぽい。

 誰がどう見ても、ついさっきまでやってましたって姿だ。

 恋人の中で1番エッチに対する体力のある彼女なら、午前中程度ではダウンしない。

 状態回復や浄化を使うと余韻が消えるので勿体ないと言い、回復だけにとどめている。

 俺はヴェルカが着替えている間に、全裸のままパスタを打ち茹でる。


 特性化。

 人間の姿のまま、凶熊のような6腕と強靭な肉体を得る。

 さっき、これだけの胸をもっと揉み続けながらしたいと強く願ったら覚醒した、変身ベルトの新しい能力だ。

 6腕があるという事はヴェルカの体のどこかを持ったり支えたりしながら、確定で胸と尻が揉める素晴らしい能力なのだ!!


 今は顔が1つの阿修羅状態で高速で料理を作っていたりする、うん便利。

 変身してると熊の手だから指先を使った作業ができないんだよな。

 だけど今は左の2腕と3腕でパスタを打ちながら、右の2・3腕で材料を切って、両手の1腕でうどんの製麺機を応用したパスタマシンを作っている。


 左の鍋でパスタを茹でながら中央ののフライパンでソースを作って、右の2つの器では液体操作でワインからアルコールを抜き取って別の容器に注ぎ込んでいる。

 魔力で作った石の密閉ボトルなら、蓋がないので純粋なアルコールでも気化? 蒸発? してなくならない。

 日常で使うには栄養ドリンクのビンやアンプルみたいな形に改良必須だが、それは村人に丸投げしとこう。


「カルボナーラとジュースワイン、お待ちどうさま」


 俺のミルクをあれだけ飲んだあとだったのでヴェルカは少食になっていて、完食できなかった事を惜しんでくれた。

 1人でかどうかはともかく、いつかまた作ると約束して午後の仕事に送り出した。

 玄関から見た日は、中天に差し掛かっていた。


「そうだな、纏まった時間と6本の腕もあるし、気の向くままに料理しながら必要な道具も並行して作っていくかー!」


 このあと目茶苦茶ぼっち料理した。

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