第26話 予期せぬ別れ
ダンジョン前の休憩所にオトを留守番させてエルネシア達を迎えにダンジョンへ。
ダンジョンワープを繰り返して9階から下へ下へと7階で探索者に反応が。
2人の方向と地図から大まかな順路を計算して歩く。
隠密を使いフルーツボマーに接近すると熱操作で瞬間冷却して蹴り砕く。
余裕で集まるフルーツを回収しながら2人と合流した。
「やっほーハニー達ー、愛しのダーリンが迎えに来たよー」
「全部正しいですけど、言ってて恥ずかしくなりません?」
「いやっ聞きたくない、つっこまれて我に帰って冷静になんてなりたくなかった、乗って来て欲しかった」
「じゃあ今夜、お姉ちゃんがシバ君の上に乗ってあげるね」
「そっちの乗りじゃないけど、それはそれで大好きなので乗ってください」
「えっと、それじゃあ私は、その間シバさんの顔に……」
「エルネシア、可愛いよエルネシア、今夜もいっぱい啼かせてあげるからな」
リュックを受け取り中身を収納して返しながら会話を楽しんでいたら、いつの間にか乗る乗らないの話しになり照れながら勇気を出してくれたエルネシアが可愛かった。
△△▽▽◁▷◁▷
「休憩するのに休憩所を作る労働をしたんですか……」
「まあまあ、シバ君らしいって言えばシバ君らしいし、今夜のためにも体力魔力を温存するのに
バカに全属性魔法使いは務まらない。
モンスターに合わせて常に最適な属性で種類の魔法を選択しなければならないからだ、それ故に思考が鋭くなりやすく、思考速度も速い。
つまり。
ぜ・ん・ぶ・ば・れ・て・る!
「自分達が休憩しろって言うから休憩所を作って、名付けもあったから動かずに休憩してたのに悲しいねえ、この悲しみは今夜腰に乗せて解き放つとするか。っとそれよりコイツの名前が決まったぞ、モンスターなんて無性別のオトだ、君でもちゃんでもつけたいならご自由にどうぞ」
「オトちゃんっていうんだ、良かったね。それはそうとシバさん、夜の件について話し合いませんか? 私は何も変な事は言ってませんよ?」
「あっー、エルちゃんずるいー、私達同じシバ君の恋人なんだから
「ゆっくりですけど技術もサイズも増してきて、もうちょっとでピッタリになりそうで、早く気持ち良くなるから耐えられる回数が減ってきてるんですから、まだまだサイズ的に余裕のあるネネさんがお姉ちゃんとして全部受け止めてあげてください」
「エルちゃん気絶してて知らないと思うけど、私のお腹が一杯になってもまだシバ君は元気に余裕があるのに、少し気持ちいい所に当たりだして起きなくなるまで失神と覚醒をくりかえされる私の身にもなって考えてみて、分担したくなって当然でしょう?」
索敵に反応……これはヤバイ。
はーふぅ……一瞬思考が白く吹っ飛び、意識の外で超高速で解決方法を導き出した。
今朝、海側南西に見た鳥。
さらに西には俺とエルネシアが彷徨い出てきた森があり、モンスターの大群が居た場所だ。
今ならわかる、あれ等のモンスターは全て逃げてきたのだと。
その時奴は森に居た、だからモンスター達は森から逃げ出して様子を見ていた。
だな俺が大群ごと森のかなりの範囲を吹き飛ばして更地にした。
今朝の鳥もその森のある西から飛んできたんだとすれば?
おそらく、この索敵が反応している奴がそいつだ。
奴の行動理由は不明、しかし目的はわかる。
森の破壊者を探しているのだ。
まだ少しだけ時間は残っているから、最後に……
「ちょいとお2人さん、盛り上がるのはいいんだけどさ、変える前に一旦休憩しない? オトが何も食べないから心配でさ、しらべるの手伝ってくれないか?」
「ええいいですよ、任せてください」
「うふふ、それはちょっと楽しそうね」
「んじゃオト連れて先に入ってて、トイレってから合流すっから」
「はい」
「はーい」
オトを預けた2人が休憩所に入ったら、ロックウォールで防壁を築いて、内側に倉庫の中身の食料と蜂関係以外を全て出して置いていく。
熱操作で羊皮紙を焼いて文字を残しておく。
2人が読めなくても北西にあった同郷人の村長なら読めるだろうとエルネシアなら気付くはずだ。
羊皮紙が風で飛ばないように上に石を置いて外に。
最後の防壁を築いてから、奴に向けて走り出す。
ニブルヘイムは使えない。
風の降り注ぐ範囲が大き過ぎて自分達も巻き込んでしまう。
ダンジョンだって死ぬんだから、外からの攻撃で死なない保証はない。
だからニブルヘイム、ダンジョンワープと逃げても死んだダンジョンから放り出されニブルヘイムの余波と冷気で確実に死んでしまう。
ニブルヘイムを使わずに地下やダンジョンに逃げても、かなりの高確率で発見されてしまう。
10階まで誘導してからダンジョンワープで外に逃げても、この付近に根張られたら家等を全て捨てて宛もなく彷徨わなければならなくなる。
今度はいつ襲ってくるかもわからない追跡者に怯えながら。
正面切って戦えば確実に全滅する。
索敵ではモンスターが居るとしかわからないはずなのに、奴の反応は強烈な死の予感を放ち続けているからだ。
あのオーガの数倍、もしかしたら数十倍から百倍以上も強いのかもしれない。
だからまともに戦う選択肢はない。
隠れられずに逃げれば追われ、戦えば死ぬ。
だから、世界の果てまで走る覚悟で誰かが囮になり、奴が注意を逸らさないように魔法で攻撃して怒りを受け続ける必要がある。
俺なら走り続けるのに術で回復ができるし魔法も使える、それにいざとなったら刺し違える覚悟でニブルヘイムを使えばいい。
恐怖を感じないというのは物事を冷静に考えられるので、恋人の平穏を得るためならなら平然と死ねるようだ。
やはり職業勇者はモンスターを倒し強くなる度に不撓不屈の効果も強くなり、マイナス感情の抑制から消去に変化していってるのではないのだろうか?
その事に感じるはずのない恐怖を感じた気がした。
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