掠れて消える唄

汚れきった街中の

雑踏に足音響く


迷子の泣き声は

誰に届くことなく霞み飲み込まれて消えた


振り返らない 振り向かない

事なかれ 嗚呼事なかれ


雑居ビルの片隅でナイフ持った男達

少女に突き立てて嘲笑う


それを横目に通り過ぎる大人達

このセカイは汚れてる


この場は

生と死が織り混ざる様な

戦場じゃないが


血の涙で街は常に濡れている


今日もどこかの家の中

声が一つ殺された


自由を求めた筈の子ども達は

理由にならない理由で鎖に繋がれる


鎖を解かれたとしても

言葉に翻弄された者は 自分から檻に閉じ篭るのさ


誰が偉いかこの世の中

権力 金 暴力が統べる


追い求めた理想なんて

所詮は現実の前じゃ塵に等しい


汚れきって腐り落ちた林檎の様な 

この世界は

満月の夜の廃墟ビルの様


穢わらしいのに何故か美しく

そしてやっぱり反吐が出る


そんな事を謳っている

奴もやはり愚かで穢れているのだろう


人間は 進歩したのか

衰退したのか


この廃墟な世界は現実か

それとも 詩人が見る夢か


正しさとは何だ 間違いとは何だ

真実はどこだ 嘘とはなんだ


自由は一体何処にある


犬が一匹 夜空に吠えた


掠れて消える


掠れて消える

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