腐った果実

青い果実がひとつ  

腐り落ちて 潰れた


たとえば ぼくたちが

この果実だったとして


どうすればいいのかな

救われたい 生き延びたい


そう願っても ずぶりずぶり

ほらほら 溶けていく


惨めに惨たらしく

悪臭を放っているかのように おぞましく


苦い 苦い 喉の奥までせり上がり

目頭は酷く熱かった


これはそう 悪夢

あくまでも想像に過ぎないけれど


そんなもしもがあるかもしれないね

何も出来ず ただ腐っていくだけの


そんな日々を過ごしたい

それならどうぞ


怠惰にしてれば蟲が涌く

内側から徐々に 徐々に


身から心を芯まで侵蝕し

そして一気に突き破るのだ


そうならずにはいられないか

どうすればいい


問いかけても声は返ってこない

いつからか聞こえる耳鳴りも


笑い声に聞こえてぞぞぞと

胸のなかを鳥肌が覆い侵す



目の前近く子供が泣いて

目を背けた周囲の雑踏


ボクら大人も あんな風にこころの隅で

泣きじゃくってる日々があるのに


どこかで何かを落としてしまい

そのことに気づかない徒然な日常


このままいつか化石になって

そいつを発掘出来るかどうか


このまま腐り潰れて蟲に

喰い尽くされて死を夢見るか


それは踏み出す僕ら次第で

空っぽの頁が待っている

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