3.ちょっと悔しい

 悩みに悩んだ文章もエンターキーを押せば一発だ。俺の悩んでいた時間なんてなかったかのように、あっという間に英語になる。助かった。これで彼女にメッセージを送ることができる。


 どんな返信が来るだろうか。俺のことなんて覚えていないだろうか。


 いやいや、俺が連絡先を手に入れる時に繋いでくれたそいつが、きっと紹介してくれているはずだ。なんなら大学で会ったら話しかけるのもいいし。


 でも話しかけるって言ったって、中学英語すらも怪しい俺だ。身振り手振りと顔でなんとかなるだろうか。同じ言葉が話せないとなると、本当に難しいんだな。そんなジェスチャーで、細かい部分まで伝えられる自信は…ない。


 なんて情けない。彼女は日本語を勉強するために、他国に飛び込んできているというのに。俺は日本にいるからって、自分の環境にあぐらをかいている。まさかこんなふうに思うことが、俺の人生に起こるなんて。本当に何があるか分からないな。


 今からでも間に合うだろうか。彼女と仲良くなるために、これは神が課した試練なのかもしれない。それなら乗り越えてやろうじゃないか。でもひとまずどうしよう。単語を覚える? それともやっぱり使えそうな会話から? どこから手を付けたらいいんだ……。


 うっ!


 もう返事が返ってきた。文末に見慣れない記号がついている。これはなんて意味なんだろう。というかなんて書かれているんだ。さっぱり分からない。


 せっかく彼女が返してくれた文章を読むことができないなんて。


 またグーグル翻訳に頼るしかない。

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