第8話 ギルド

ガースのお使いに付き合うことになり。北西銀河を拠点とする宇宙冒険者ギルドにむかうことになった。残念ながら正式な宇宙冒険者の登録するには中央銀河アレイストアでなければできないそうだ。でもまあ登録はいつでもいい。まずはギルドとはどんなところか確認するのもまた一興だろう。


ゴゴゴゴ

操縦席のガースが宇宙探索船を操作し宇宙空間を進む。


「それでランディル文明の遺産の船はどうなった?。」


ガースが後部座席に座る俺に声をかける。


「ああ、何とか船に入れたよ。まだ操縦席があるコックピットはしっかりと確認していないが。ネテリークに言うには採取船のようなんだ。」


俺は交渉してもらった古代宇宙船の現状報告をする。


「ほう、そいつはいいなあ。採取船なら未解惑星の資源収集には役立つだろう。宇宙冒険者は見つけた未開惑星の現地の資源の調査確認も行っているからなあ。惑星を見つけたらはいそうですかというわけにもいかない。その未開惑星にどんな資源があるか?。どんな危険な生物が生息しているか?。未知の病原菌などもいないか調査、調べるのも業務に入っている。だから未開惑星を第一に発見した先駆者である宇宙冒険者はいつも危険と隣り合わせなのさ。」

「へえ~そりゃあいいなあ。」


俺はニヤリと不適な笑みを浮かべる。


「そこ、笑うとこじゃねえだかなあ···。」


ガースは呆れたようにため息を吐く。


「ほら、ぺっちゃくていったらもう着いたぞ。あそこが惑星ラビリンス。北西銀河ラビンクを本拠地とする宇宙冒険者ギルド、バル・サンがある惑星だ。」


ん?聞き間違いだろうか?。地球にあった害虫駆除を思い浮かべてしまったんだが。


惑星ラビリンスの大気圏上空に設置された軌道上エレベーターの大小いくつものある入港口にガースの宇宙探索船が入る。足場のドッキング箇所に船体の底面をつけるとがしゃんガシャンとロボットアームのようなものがガースの宇宙船を固定する。


『惑星ラビリンス二ヨウコソ。御用ナニ用デ御座イマショウカ?。』


固定されたガースの船の前窓に無重力で宙に浮遊する卵型の小型ロボが話しかける。


「宇宙冒険者のガース・ベルンナフ。宇宙冒険者ギルド、バル・サンに用がある。」


このギルド名のネーミングセンスが解らねえ。

俺は微妙な顔を浮かべる。

ガースは宇宙冒険者の身分証を提示する。


『確認シマシタ。行キ先ヲバル・サンに致シマスカ?。ソレトモ商業エリアデ買イ物シテカラムカイマスカ?。』

「いや、そのままバル・サンに向かってくれ。帰りに商業エリアまで向かう。」

『了解シマシタ。ビビ、行キ先ヲ宇宙冒険者ギルド、バル・サンに変更。』


ブウウウウ

宇宙船がアームによって持ち上げられ。分岐するトンネルの滑走路に船体が置かれる。


すゥーーーーーー

滑走路に船体が浮き上がったまた滑るように宇宙探索船の船体が進んでいく。

どうやら宇宙船の滑走路の底面が反重力装置になっているようだ。

すぅーーーーーー

プシューーーーーーーーーー!!

トンネルを通過同時に噴射口から霧状のものを吹き掛けられる。


「今のは?。」

「消毒だな。宇宙に漂う細菌やウィルス、あるいは寄生型の宇宙生物を除去するためのものだ。特に俺らは未知の未開惑星を探索するからなあ。未知の病原菌やら危険な生物を持ち帰られたらこまるのよ。」

「へぇ~、流石は宇宙だな。色々徹底しているわ。」


俺は素直に感心する。

船体が滑らかに滑走路を突き進み。

軌道エレベーターに乗り降下する。

すぅーーーーーー 


ブィーーーーーーーーーン カチャ 

ぷしゅうう



軌道上エレベーターから地上に物凄いスピードで降下しているのにGも感じられなかった。

宇宙船が惑星ラビリンスに降り立ち。

透明の釜形の着地点の扉がすーと左右に開く。

ガースの宇宙船はそのまま宙に浮く自動滑走路を伝い宇宙船専用の駐車場に停められる。


『宇宙冒険者ギルドバル・サンに到着しました。』


何処からかアナウンスが流れる。


「船をでたら駐車場にあるゲートのようなものをくぐる。危険物や体内に異常がないかと検査するんだ。」

「衛生面でも優秀だな。やっぱ進んでいるわ。」


俺とガースとムムは宇宙船から出てゲートを進むと寸なりと通過できた。

少し歩くと巨大な建造物が目に入る。近未来的な感じで。いかにもSFのような建物である。


「ここが北西銀河ラビンクの宇宙冒険者ギルド、バル・サンだ。」


巨大なドームような形に天使の輪っかのようなものが屋根についている。

正面の看板には何処の惑星言語か何やら宇宙文字がかかれている。


「大翔はここで待っていろ。俺は用をすませる。」

「ちょ、せめて中に入れさせてくれよ。折角の宇宙冒険者ギルドなのに。」


俺は不機嫌にごもくそを垂れる。


「なかは荒くれ者ばかりなんだ。喧嘩になったらどうするんだ!?。」

「ベテランの宇宙冒険者と喧嘩できるならそうそうチャンスはないだろ。望むところだ。


俺は有頂天に拳を握る。


「はあ、だから入れたくないんだよ。お前はここのギルドの正門で待っていろ!。入ってくるな。」

「そんな~せっしょうなあ~。」


折角宇宙冒険者ギルドに入る機会なのにそれが出来ないなんて。

俺は非難がましく非難する。

ガースが一人宇宙冒険者ギルド入り。俺とムムはその正門で待ちぼうけをする。ムムは普通にギルドに入れたが俺と一緒に待つことを決めたようだ。こっそりガースについていくという手もあるが。もしばれれば二度と宇宙冒険者として連れていかなくなるかもしれない。そんなリスクは負いたくない。矢張今後のことも考えて我慢しよう。不満はたらたらだが。


「暇だな。ムム。」

「キィ。」


二人してギルドの入り口で待つ。

時々他の惑星人の宇宙冒険者がギルド出入りしていた。


ブブブブ キーキィー!

ん?

ギルドの入り口前に車が止まる。

リムジン?、ここ宇宙だぞ?。

あからさまに場違いであった。そのリムジンは確かに4輪タイヤがあり。高級そうな黒い車であった。駐車場には4輪タイヤのような車などなかった。宇宙船か宙に浮くようなタイプだけだ。

何でこんなところにリムジンが。どう見ても地球産の車だよな?。

俺はいぶかしげにそのリムジンの車をみいる。

ガチャ、後部座席辺りの扉が開き。そこの人が現れる。

格好が小公子のような容姿で身なりがよい。整った服装をしている。

コツコツ

黒いブーツをならし此方に向かってくる。いつの間にか目の前に近付く。


「こんなところに地球の惑星人(ネヴィト)とコジョ族って不思議な取り合わせだね。」


小公子のような惑星人(ネヴィト)はニッコリと微笑む。


こいつ·····。男か?女か?

中性的な顔立ちをしており。俺は相手が男か女か判断できなかった。ただ悪魔のような角や瞳が透明感のある独特な色をしていたので何処かの惑星の惑星(ネヴィト)だとは解る。


「悪いが構わないでくれ。知人と待ち合わせなんだ。」

「キィ。」


俺はぶっきらぼうに対応する。

ムムも何故か怒ったように警戒していた。

中性的な顔立ち惑星人(ネヴィト)はクスクスと子供ように嗤う。


「僕のことを知らないの?。おのぼりさんかな?。」


茶化したような笑顔を浮かべる。


「馬鹿にしているのか?。喧嘩なら買うぞ!。」


俺は今は虫の居所が悪かった。男か女か解らない惑星人(ネヴィト)に対してかなり苛立っていた。


「怖じ気もなく僕に喧嘩をふっかけるから本当に知らないんだね。」


中性的な顔立ちの惑星人(ネヴィト)は少し残念そうな態度をとるが直ぐに気を取り直し口を開く。



「そんな態度を続けたら早死にしちゃうよ。」


中性的な顔立ち惑星人はニッコリと微笑む。

 さっきから何なんだこいつは·····

俺は段々とイラつきが増してくる。


「知るか!。俺は相手がヤクザであろうマフィアであろが政府の犬だろうが強いなら誰であろうと喧嘩をする!。」


俺はあるがままの事実を言う。


「怖いもの知らずだね。いや、好戦的というべきなのかなあ?。」

「好戦的かどうか知らんが。俺はただスリルを味わいだけだ。どんな内容であれなっ!。」


語気を強め俺は吐き捨てるように呟く。


「ふ~ん、面白いねえ。君、まだ何処で機会があればお話しようね。」

「お断りだ。あんたは危険な臭いがする。」


目の前の中性的な顔立ち惑星人は何処か得体の知れない雰囲気を感じていた。


「ふ~ん、勘は鋭いほうなんだ。それなら長生きするかもね。じゃ、僕はギルドに依頼しなきゃいけないので。」


中性的な顔立ちの惑星人はそのまま軽い会釈しギルドの中に入っていく。どうやらあの中性的な顔立ちの惑星人(ネヴィト)は依頼者らしい。

何なんだあいつは·····

俺は不機嫌に鼻をならす。

中性的な顔立ち惑星人の代わりのばんのようにガースがギルドから出てくる。


「なんじゃ?、そんな不機嫌な顔をして。」


ガースは俺のしかめっ面な態度に眉を寄せ困惑する。


「別に、ちょっとやな奴に遭遇しただけだ。」

「ま、まさか!?。喧嘩しておらんよなあ?。」

「ああ、我慢したよ。どうやら依頼者のようだからなあ。」

「それなら本当に良かったよ。依頼者ともめたらなら宇宙冒険者になるどころではないからなあ。」


ガースはホッと安堵する。

あの中性的な顔立ち惑星人(ネヴィト)は正直戦い慣れというか。殺し慣れしているような気がした。俺は昔誰構わず喧嘩をふっかけていたから解る。強者の中で特にあっち側の人間の違いに殺しを経験した者が独特な雰囲気を醸し出すのだ。

中性的な顔立ちではあるが。あいつは相当場数を踏んでいる。


「それじゃ、大翔、機嫌を直す為にも商業エリアに向かおうか。宇宙冒険者に必要なもの銃とか携帯ナイフとか買ってやろう。」

「本当か!?。」 


ガースの提案に俺は歓喜する。

まっ、あいつは依頼者だろうがなかろうが二度と逢うことはないだろう。

俺は気を取り直し惑星ラビリンスの商業エリアで買い物を楽しむことにした。


▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩


宇宙冒険者のギルドの中に入れず不満だった大翔だったが。ガースから宇宙冒険者のサバイバル一式を買って貰うことになり歓喜する。


次回 社会不適合者の宇宙生活 上等‼️


第9話 『商業エリア』


   不良少年は荒波の海に飛び込む······・



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