第3話 古代の遺跡


コツコツ


やけに暗い。

石造りの廊下を進む。

外観は原始的だったが内部は近未来的な構造をしていた。

薄暗い廊下を暫く進む。

長い廊下を抜けると広いホールのような場所に着く。

ホールの真ん中に箱の形をした台座のようなものが置かれていた。


「ハズレか。何もない。」


箱型台座以外はもぬけの殻ではあり。

大翔は落胆の溜め息を吐く。


大翔は台座のまえに立つ。

台座の上には大きな箱のようなものが設置されていた


「もっと、面白いものだったらよかったのに。ただの箱の形をした台座だけとは。」


大翔はがっかりして台座と一体化した箱のような形容物に触れてみる。


ぴた

「何もないな。本当に中が空洞でもないようだし。中身もないようだ。」


大翔は箱を擦ったり叩いたり確かめる。


「無駄足か······。」


ブン


「何だ!?。」


突然箱の周囲に映像が浮かび上がる。

流れ出す映像の音声が直接脳に伝わってくる。


《ザザ·やはり····だめだったザザザ····。どんな方法をしいてもバリアントに対抗できるものがない。我々は刻々と滅びを待つしかないのか。これは報いなのだろうか?。我々は絶大な科学力を持ち。不病不死をもつ完璧な細胞をもった種族である。寿命の死さえも克服した我等でも。バリアントの解決策には至らなかった。最早は我々に打つ手はない。徐々に我々の同胞はあれのせいで減っていっている。願わくば他の種族が我等と同じ道を辿らないことを願う。バリアント、あれは抗··変···ザザ···ザザザザザザ····。》


脳に流れ出す音声は砂嵐のような雑音にかきけされ途切れる。宙に写し出された映像はいつのまにか消えていた。


「何だこれは?バリアント?。」


言語の通じている奇跡に驚くが宙に浮いた映像が直接脳に音声が伝わってくる驚きもあった。

映像の写し出されたエナメル色の髪と瞳をした研究者、科学者のような異星人は切迫したように追い詰められている感じだった。


「バリアントか·····。」


異星人の科学者の残したバリアントという言葉を口にする。どうやらバリアントという何かに彼らを滅ぼし或いは既に滅ぼされてしまったようである。


「は、まさかここでもう一つ謎が出るとはなあ。いいだろう。ミスティックファイブ(五つの謎)のついでにそのバリアントの言葉の意味も暴いてやるさ。」


大翔は捨て台詞を残して台座を背を向ける。


トタタ タタタタ


「大翔~。」


真っ白なオコジョに似た容姿をもつ異星人が地を這うように俺の元に駆けてくる。


「待ってていいって言ったろ。」

「キィ、やっぱり心配だから着いてきた。何かあった?。」

「いや、何も、そうだ!。ムム、バリアントという言葉を知っているか?。」

「知らない。」


白い毛並みの顔がふるふると左右に振る。


「そうか、ネテリークにも聞いてみるか?。」


コツコツ

大翔は帰り道である石造りの廊下へと向かう。

ムムは大翔の後をついていこうしたがふと脚を止める。振り返り箱の形をした台座に視線をうつす。何かに引き寄せられるかのようにじっと台座に設置された箱を直視していた。


「おーい、ムム行くぞ。」

「解った。」


トタタ

ムムは気のせいと首を傾げて再び大翔の後をついていく。



ザッ ザッ


「臭い····。」


俺は手袋はめて土の地面に落ちている茶色の汚物をスコップですくって荷車に入れる。


みゅ~ ぶりぶりぶりぶり


俺の周りには植物が生えてない土が盛り上がった土地に巨大ミミズのようなものがうねうねと歩行していた。俺はそいつらの後ろ部分あたるところから吐き出す。或いは出している茶色の臭い汚物をスコップですくい。荷車におさめている。これが何なのか言葉の流れから察しがつくだろう。そう糞である。俺はそいつら巨大ミミズから出る糞を拾い集め荷車に積めているのだ。ネテリークがこの惑星で唯一飼っている生物がマヌルワームという巨大ミミズだ。習性生態はいたってシンプルで土を食べて糞をするただそれだけである。ただマヌルワームという生物の糞は栄養価が高く。マヌルワームの糞でできた作物は実りもよく。病気にならない尚且つ害虫の被害にも合わないという農家にとって至れり尽くせりの効果効能をもつ。マヌルワームの糞は見た目に反して高価で糞1キロで宇宙船の1日分の燃料を買えるほどだという。といってもそんな宇宙の相場なんか俺が知るわけがない。


みゅ~ ぷりぷりぷり ほっ💨

ずりずりずり

マヌルワームは気持ちよさそうに糞をして別の場所に移動しまた土をたべる。

しかしこいつら本当に気持ち良さそうに糞をするよなあ。

俺の糞拾いお構いなしに。

マヌルワームは警戒心がないのかマイペースに土を食べ糞をだしていた。


「キィ。」


ザッ ザッ

隣でムムがマヌルワームの糞を袋に積めている。このネテリークが買った未間惑星にある一定期間に通う船商人にマヌルワームの糞を売るためである。マヌルワームの糞とその他の生活用品、物質をまるまる物々交換のような形をとっている。

糞が高価なんて何だかなあ~。

そんなことを考え。俺は糞をスコップですくい荷車につめる。


ホー ホー ホー


深夜、掛け布団をかけたまま寝そべり読者にふけこむ。

夜中に読書をするのが日課になっていた。宇宙冒険者の知識を得るために言語も兼ねて勉強をしているのだ。不良になってこのかた勉強など真面目にしたことがない。宇宙冒険者になるためには知識が必要だ。未間惑星でのサバイバル術や危険な宇宙生物、病気、組織、通貨、天候らこのアレイストア銀河で生きていく為に必要な知識なら何でも取り込んだ。


「後は宇宙探索船か······。」


宇宙冒険者には宇宙探索船という宇宙探索に必要な船を持っている。宇宙探索船には小型中型、大型ものもあり。宇宙を航行するには欠かせない。

中型、大型は無理だけど。せめて小型の宇宙探索船が欲しい。だけど····

異星更正教育プログラムを受けている俺にはお金を稼ぐ術がない。宇宙探索船ほど宇宙船を買うのだからその価格はやはり万や億も下らないだろう。俺が一生かかっても稼げない金額である。

はあ~、仕方ない。ネテリークに相談するしかないか。

ネテリークは元宇宙冒険者だ。もしかしたら宇宙探索船を所持していても可笑しくはない。


「ただ二人の未間惑星に住んでいるんだから宇宙船所持してないというのは可笑しすぎるからなあ。」


もしかしたりコジョ族のムムも宇宙船持ちかもしれないし。


タタタ

突然部屋から地を這うような足音が聞こえる。

横になっていた上半身を起こし。ベッドの下を眺めると白い獣耳をぴくぴくと動かすムムがいた。


「ムム、どうかしたのか?。」

「キィ、あの遺跡の箱の台座をみてから怖い夢みた。一緒に寝ていい?。」


くりくりとした亜麻色の瞳が潤みながら健気に悲痛に訴える。

まお、遺跡探索したいと言った俺が原因だしなあ。


「解った。俺のベッドでいいなら。」


「キィッ」


ムムは嬉しそうな白い毛並みの笑顔で俺の掛け布団がかかっている膝上に乗っかる。身体を器用にくるめそのまま眠ってしまう。


すー すー


「猫かよ。」


俺はそんなムムの様子に微妙な表情で眺める。


「あれから3ヶ月か·····。」


惑星から来てから植物だらけの惑星生活にもだいぶ慣れてきた。だが慣れるつもりも毛頭ない。俺はこの惑星を早々に飛び立ち。ミスティックファイブ(五つの謎)を、この宇宙に散らばる未知なるスリルを早くこのみに味わいたいのだ。

オコジョ似た異星人は安心しきったかのように掛け布団の膝上でスヤスヤと眠っている。

大翔は再び宇宙に記した数々の書物を熱心に読み漁る。


翌朝、俺はネテリークが宇宙船を所持していないか確認しようとした。未開惑星を買い取る位だ。宇宙船を所持してもおかしくないからだ。


「ネテリーク、宇宙船を持って無いか?。」

「何だ?。宇宙船を欲しいのか?。」


俺はギョッとした表情で感情を押しころそうすとする


「隠さなくてもいい。宇宙に旅立ちたいとそう顔に書いているぞ。」

「·······。」


俺は舌打ちして気まずそうにする。


「残念だが。私の宇宙探索船は使い物にならない。元々隠居の身でこの未開惑星で生涯を終える名目で定住したからなあ。」

「そうか······。」


俺は肩を落とす。

手っ取り早く宇宙船が手に入るとは思っていなかったが。案の定的を射ていた。


「なんなら宇宙船を買う位の稼ぎ場所を紹介しようか?。」


ネテリークの突拍子の無い発言に俺は絶句し一瞬固まる。


「あんのか?。」


宇宙船なんて地球では万や億の単位だぞ。バイト程度で稼げるとは思えないが。


「まあ、普通の惑星の仕事では無理だろうが。宇宙冒険者の手伝いなら半年で小型の宇宙船位なら買えるだろう。」

「マジで!?。」


宇宙冒険者は稼ぎがいいと聞かされていたがそこまでとは。


「宇宙冒険者には地球でいうパートやバイト、日雇い等は無いからなあ。トライアル。見習いとして働くことになるが。私の知人の宇宙冒険者に頼んでみるか?。」

「お願いする。どうしても宇宙船を買うお金位は稼ぎたいからなあ。」

「まあ、宇宙船を買うのは問題ないとして。寧ろパーツ回路を手に入れるのに苦労するだろうが。」

「パーツ?。」

「無限エネルギー回路メビウスだよ。」

「あっ!?。」


俺は思わず声をあげ重要なことを見落としていた。確かに燃料、エンジンの役割を果たす宇宙船の最も重要なパーツを忘れていた。オーパーツと呼ばれる程の古代遺物だ。入手しずらいだろうし高額に違いない。


「エリクシル光石を燃料にした宇宙船でも問題ないだろうが。生憎この宇宙領域ではエリクシル光石の売買はない。必要ないからな。」

「そうか。どうすっかなあ。」


俺は頭をかきながら考え込む。

宇宙船の入手よりも古代遺物でもある無限エネルギー回路メビウスの方の入手の方が困難らしい。売買でも古代遺物でもあるから高額だろうし。或いは宇宙船よりも高値かもしれない。


「方法があるとしたら宇宙冒険者の見習いとして入手するしかないだろう。運が良ければ仕事上で入手するかもしれないしなあ。」


確かに一番エネルギー無限回路メビウスを手に入れるにはその方法しかないだろうが。でもはたして譲ってくれるだろうか?。メビウス事態高値なら俺みたいな新米に譲ったりしないだろう。


「安心しろ。私の知人の宇宙冒険者に口利きしてやろう。直ぐにとはいかないが。大船に乗ったつもりでいくといい。」

「はあ、そうですか·····。」


大船というよりは宇宙船だけどな。

俺は微妙な顔を浮かべた。

こうして俺はネテリークのコネでベテランの宇宙冒険者の手伝いにより宇宙船の資金問題を解決することができそうである。

しかしまだ無限回路メビウスのパーツ入手の問題があるだろうが。先ずは金を稼ぐことが重要である。


先ずは第一歩ってとこだな·····。


俺は方針が定まったことに一時を安堵を覚える。



▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩


宇宙船の資金問題の解決の糸口を手にした大翔だったが。直ぐに大翔にとっては招かざる客が来訪する。


次回 社会不適合者の宇宙生活 上等‼️


第4話 『視察官』


不良少年は荒波の海に飛び込む······

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