後ろから彼女を抱き締めると落ち着く


文芸部の部室のパイプ椅子に優依が座って、不機嫌そうにラノベを読んでいる。


不機嫌な理由は、相葉の相談にのっていたので、二人きりの時間を過ごせなかったからだ。


少し前までなら、こんな風に断定は出来なかった。


少し前なら自分でも、自惚れんなよ。と言っていただろう。


だが、付き合い始めて、お互いにゆっくり時間を過ごした結果、何となくこうしてほしい。ああしてほしい。と分かるようになった。


で、今回は昼休みに、何故遅れたのか説明したら、目に見えて優依は不機嫌になった。


最初は何か嫌なことでも、思い出して不機嫌になったのかと思ったが、どうやらうようだ。


では、なんだ? と考えて。

確認のために、優依聞いた。


「相葉に嫉妬してる?」

「うん」


コクンと素直に頷く優依。


かーわーいーいー!!


で、俺は今拗ねた優依の背後に周り、優依を優しく後ろから抱き締めている。


「優依」

「……なに?」

「キスしていい?」


俺の言葉にピタリッと固まる優依。微かに頬が紅くなった?


「……」

「ダメ?」


優依は小さく溜め息をついて、少し身体を俺の方へ向けて、俺の顔を見上げる。


「女の子と二人きりは誤解を招くよ」

「今度から気を付ける」

「なら、いい……」


優依は目をつぶった。



▽▲▽▲


さて、性欲は昨日の夜に発散しているので、邪な気持ちを持たずに、改めて優依を抱き締めよう。


優依にスクールセーターは脱いでもらい、椅子もパイプ椅子から、背もたれのない丸椅子へ座り直してもらった。


実は後ろから抱き締めようとすると背もたれのある椅子だと、何となく壁を感じて嫌だったので、学校の使われていない空き教室を見て廻り、背もたれの無い丸椅子を確保した。


「うん、暖かい」


優依は俺に少し身体を預けてくる。

それを俺は優しく両腕で包み込んで、読書の邪魔にならないようにする。


ゆっくり、呼吸をして時折頬や首筋に軽くキスをする。


優依は擽ったそうに身体を揺らしたが、それだけだった。


「そろそろ、プールの授業」

「そうだな」

「見たい?」


少しだけ、優依の頬が朱くなった。

「いいの?」

「彼氏だから、特別。競泳水着は明日持ってくることになるけど」


俺は優依を強目に抱き締めて、「ありがとう!」と伝える。


「やっぱり、フェチっぽい方が好き?」

「うん、後ろから抱き締めて、優依のうなじを見てるの好きだ」

「変態……」


俺は優依への顎先に右腕を伸ばして、優しく優依の顔を俺の方に向かせる。俺も少し優依の方に身体を横移動させ。


「目を瞑って」

「またするの?」


恥ずかしそうにする優依に俺は、少しだけ舌先を出して、こう告げた。


「今度はこっちで」

「……わ、わかった」


恥ずかしそうにする優依を見て、俺も釣られて恥ずかしくなってしまった。


ゆっくりとした時間。

暖かい優依の体温。

柔らかい優依の身体を抱き締めながら、然り気無く、両腕で優依のおっぱいを上下で挟み込む。


うん、やっぱり、俺は君のおっぱいが。


「好きだ」

「うん」


俺の声に優依は、積極的なキスで答えてくれた。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る