第9話 布団

氷漬けのフィアンセは

とてつもなくつまらなさそうな顔

1月3日の寂しさ

今日掬い取られなかった花屋への御使いは

永久に沈没したまま地表に顔を出すことはない


メロンソーダの中の

二酸化炭素みたいに逃げ惑う


眠気だけがわたしの心を染色して

市場に出回るのを止めてくれる


世紀の大事件も

氷山の一角に勝る君の薬指も

時間が削れていくということを

神経まで溶かしていくための道具


天国はコップの外か?


生温かい人身事故の放映

耳にねじ込まれる延滞証明

森羅万象を解きほぐして

うんと後悔したい


ピースを崩される哀しさ

遠くのバイクの咳払い


ねえ、フィアンセ、

もう10時だよ

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