「鍵束」20:56

「だから言ったんだよ、初めからその鍵で試していれば、こんなことにはならなかったんだって」

「仕方がないだろ。お前だって、最初はこれだって言ったじゃないか」

「そりゃ言ったけどさ、よくよく考えてみて、こっちの鍵が論理的に正しいって思ったんだよ」

「なんだよそれ、論理的に正しいって、そもそも合う鍵はひとつしかないだろ」

「あーもーうるさいな……ていうかなんで、鍵をこんな束で寄越したんだよ」

「それがお決まりだからだろ」

「丸い輪っかに、じゃらりと十何本もついた鍵束が、今のご時世にウケると?」

「それがやりたかったんだろ、ここの屋敷の主人はさ」

「お陰でここからでられなくなったじゃねーか」

「刺さったまま抜けないしな」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

鍵の話 七辻ヲ歩 @7tsuji

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ