異世界で変身ヒーローできますか?

鍵識 兵太

第1章 ヒーロー誕生

プロローグ


ここはどこだろう。

あ、そうだまだ仮面リーダーのイッキ見の途中だったはず…

あれ、でも夜もいい感じになっちゃって明日は朝早くから会社行かなくちゃってなってさっさと寝たんだよな…

んで、朝、駅のホームで電車待ってたら女の人が線路に落ちそうになって、それを、えぇと…

うーん、でもここ、どこもかしこも白いな、いったいどこなんだろう。


「まだ時間はかかりそうですか?」


うわっ!びっくりした!!なんだ!?

急に女の人?男の人?なんかよくわからないけど声がした!


「あはは、驚かせてしまいましたね。ですが大丈夫ですよ。あなたに危害は加えません。」


どこから、、あ、前にいたんですね。なんか輪郭がぼやーっとしてて白い部屋に紛れてわからなかったです。でもなんだろう僕は声を出してないけど、僕の考えてる?でいいのかなことがわかるんですか?


「ここではあなたは肉体ではなく魂の存在となっていますからね。思っていることが私に伝わるんですよ。そしてごめんなさい。はっきりと姿をお見せすることはできないんです。」


はぁ、そうなんですね。なんかまだわからない感じですが、少し落ち着いてはきました。ここって何なのでしょうか?あなたは・・・?


「ここは死後の世界とでもいうのでしょうかね。そして次なる世界への入り口でもあります。そして私はあなたの世界でいうところの神様みたいなものですね。」


神様…いたんですね…

というか、死後の世界… え、僕って死んだんですか?


「えぇ、残念ですが広山海斗ひろやま かいとさん、あなたはお亡くなりになりました。」


やっぱりあの女性を助けた時・・なのでしょうか?


「えぇ、そうですね。」


あ、あの女性はどうなったんですか?


「それは、お聞きにならない方がよいかと…」


え…

そ、そうなんですね。せっかく手をつかんだのに、だめだったのかな…


「いえ、存命ですよ?ただ・・・」


え、生きてるんですか!?よかった、あれでもそれじゃなんで?ただ?ってどういう?


「うーーん、気になりますか?」


そこまで言われたらやはり!!


「そうですよね、ではお教えしましょう。女性は助かりましたし、怪我もありません。ですが、あなたに助けられたことがどうにも…」


あぁ、もうよくわかりました。やっぱり最期の最後でも僕の扱いは変わらなかったということですね。


「えぇ、本当に残念だとは思いますが。」


ははは、ほんとつまらない終わり方ですね。


「そんなことはありませんっ!あなた自身の結果こそ死というものでしたが、あなたの行いはとても尊いものでした!そんなあなただからこそ、こうしてここに来ることができたのです!」


死後の世界で、次の世界の入り口っていう?


「そうですよ。そしておめでとうございます。広山海斗さん。あなたは前世の記憶と能力を引き継いだまま次の世界へ旅立つことができます。」


おぉ、それって異世界転生ってやつですね!


「うふふ、あなたのいた世界ではそうしたお話があるんでしたね。その通りです。あなたはこれから地球とは別の世界で生きてもらいます。」


おぉ…おぉ…!!

ついに僕にも光明が!

それで僕はイケメンになってモテモテウハウハ最強になれるんですね!


「え、えぇと、元気になってくれてうれしいのですが大事なお知らせがあるんです。」


なんでしょうか!何かスキルを選ぶとかそういう展開でしょうか!

うわー何にしようかな!やっぱり剣道部だったし剣の扱いがすごそうなやつとかがいいかな!


「あ、盛り上がってるところ申し訳ないのですが、そういうことではなくてですね。外見の話というかなんというか…」


え、スキルの話じゃないんですか?

でも外見かぁ…うーーん、どんな感じのイケメンがいいのかなやっぱり外国人みたいな堀が深くて鼻が高い西洋風イケメンがいいのかな…


「いえ、違うんです、そういうことじゃないんです。あなたの魂は初期化をされずに来世へと渡ることになるのですが、魂の記憶は外見に多分に影響するんです!」


いやでも、しょうゆ顔のイケメンってのもありだと思うんだよなぁ。でもでも、次の世界が西洋風なら目立ちすぎちゃうかな…んん?


…イマ、ナンテ、イイマシタカ?


「つまり前世の外見、特に顔はあまり変わりません!!」


……


…………


………………


…えぇええええええええっ!


それじゃ、意味がないんです!あの顔でどうやって生きろと!?ぼぼ、僕の人生知ってるんですよね?顔です、顔が大事だったんですよ!?しょうゆ顔でも、顔面偏差値的には40前半な顔だったからあんな人生だったといってもいいくらいなんです!知ってるんでしょ!知っててよ!分かってよ!!


「えぇ、あなたが顔についてコンプレックスを抱いていることはわかっています。ですが、安心してください!次の世界はそもそもあなたのような顔の人自体が珍しい世界です!醜いとかそんなこと言われるはずもありませんって!」


いやいやいやいや!なに言ってるんですか!それ明らかにいじめられるやつでしょ!気持ち悪いってなるやつでしょ!未知との遭遇でしょ!!


「そ、そ、そんなことよりですね。あなたの魂は前世を引き継いでいますので、それはそれは強い力を手にして転生できるんです!これで俺TUEEEEして、モテモテできますね!」


話を逸らすんじゃねぇ!んなこたぁどうでもいいんだよ!

最悪貧弱でHP1とかでも、イケメンに!イケメンになりたいんだよぉ!!


「あはは、神様にも無理なことってあるんですよ?あ!もう時間ですね!それではよい来世を!!」


ちょっと待て!イケメンにイケメンに!!イケメンにしてくださぁぁぁぁい!!!!

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