謎のパーティ招待

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  あらすじ:美女について行く

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 ――俺は、ギルドに併設された酒場に来ていた。

グラマーな美女に誘われていたからだ。


 ギルドの酒場というのは、ギルドの仕事を探しに来た人や、その仕事を終わった人が集まりやすい為、格好のお金を落としてくれる場所である。


 仕事を依頼をして、渡したところでお金をこの酒場で落としてもらう。






とても合理的である。




ギルドの酒場で3人がテーブルを囲んでいた。


ギルドに入る時に見えた、木製のビールジョッキでお酒を飲んでた大男と魔導士風の青年、そして小柄で尖った耳の少女が居た。


汚物は消毒されそうなモヒカン男はもういなかった。



――なんかまたどこかで会いそうな気がする。



  それはそうと、 


 仲間の元へ案内されるので、簡単にあいさつをする。


「私はエリナよ、よろしくね」


「俺はクウトだ。まだ戦ったこともない駆け出しだが、よろしく頼む」


 簡単な自己紹介をしたので、その場にいる3人からも簡単に自己紹介をされる。



「ところでエリナ、こいつ大丈夫なのかよ」


 座った姿勢で下から見下ろすという、体に似合わず器用な芸当を見せるこの大男はアズラックというらしい。この人、どこかで見たことがあるんだが、…………思い出せんな。


「そうですね、彼からは大きな力を感じませんが」


 温度の無い声に距離を感じる魔導士風の青年はクレス。


「私的に容姿は好みだしぃ、エリナが言うから間違いないと思うんだけどねぇ」


 他にも何か言いたげなこの小柄な少女はアリーシャだそうだ。


――アリーシャの言葉には、なんだか気になる言葉があるが、あえて気にしない事にした。気にしたら負けだ。絶対そうだ。うん、そうしよう。




 それはともかく、3人とも心配になるのも当然だし、もっともだ。


 俺はこの世界に降り立ったばかりで戦闘スキルなんて皆無だ。


 魔法の世界であることには間違いないのだが、魔法というのを使ったことが無いので魔力なんてのが俺自身にあるとは思えない。




「ねえクウト、あなたはこの世界に来た時、何か持ってきたよね?」


エリナは確信に満ちた目で尋ねてくる。




「星形のアクセサリーの事か?」


俺はそう答える。




 見せて、って言ってきたら拒否するつもりだが、そうゆう雰囲気ではなさそうだ。




「じゃあ、私が言ってることは間違いないわね」


 エリナは即答する。



「つまりあれか、お前とおなじってことでいいんだな」


 アズラックは答える。




 ………おなじ?




「そうよ、クウトはこの世界とは別の世界から召喚されたのよ」


 エリナは、なぜ? それを知ってるのだろうか。




「しかし、腑に落ちないですね。それが本当だとしたら、何故王宮に居ないでこんなところに居るんですか?」


 クレスが異を唱える。




 どうも別世界から召喚された人は王宮に居るのが普通みたいな口ぶりだ。




 俺は口を開いた


「エリナと同じというのはつまり・・・?」


「クウト正解よ、私も召喚された口なのよ」


 エリナはそう答える。




――確かに異世界召喚されたら道端にいるなんてなかなかない。



 中にはコンビニ袋を持ったまま道の往来に転移する例外もあるのだが、本来は王宮でのもてなしや、援助金や仲間などを斡旋されて旅立つのが、ラノベでの定番だ。




 なのに、俺の場合は裏路地にひっそり放置されていたわけだ。ねぇ泣いていい?




「わーそうなんだー!クウトくん、見た目は弱そうなのに凄く強いんだね!」


 さっきまでのもの言いたげな表情はどこへやら。 アリーシャはニコニコ顔で俺の右腕に抱き着いてくる。


 ――嬉し恥ずかしいけど、サラッとひどいこと言ってない?




 だぶだぶのローブのような服装だったので気が付かなかったが、


 小柄な割に意外に膨らみはあると右ひじが報告をよこす。

 うむ、引き続き情報収集に励むべし。




 ――いやそれよりもだ、言わなければ!


「いやいやいや!俺はまだ戦闘も魔法も何もできないぞ!」


 そう言った!だっていきなり戦闘に立たされても困りますし。

 やめてください死んでしまいます。




「じゃあ今なら、クウトくん襲い放題だねっ!」


アリーシャはさらにギュッと俺の腕を抱き付きながらとんでもないことを口走る。



――この子何言ってるの?




「アリーシャ、その辺にしておきなさい!」


エリナが不機嫌そうに怒った。


「はーい」


 笑いながら返事をしているアリーシャは何か考えてるようだ。




「クウト、話は戻るんだけどいいかしら? 本来は王宮などでもてなしを受けて旅立つのが普通なんだけど、ここに居るのはある意味ラッキーなのよ」


 エリナはそう発言するのだ。道端に放置されるのがラッキー?それについて問い詰めたいが、話が進まないのであえて突っ込むのはやめた。



「なぜだ?」


 道端に放置されるほうが幸せってか? 普通ならそう考えないだろう。




「確かに王宮で装備や仲間は集まるし、その後の援助なども国中で受けられる。でも、危険は常に付きまとうのよ」


 そうエリナは付け足す。


 まあそのあたりはわかる。


 装備も路銀も困らず、英雄のように扱ってくれるわけだ。今みたいにパン一つろくに買えないこの状況よりは良いだろう。


しかし、危険というのはいまいちピンとこない。



「危険?」


――危険って何に対してだろうか。




「確かにそうなのですよ。私は以前エリナさん以外の異世界の方と旅をしたことがあります」


 それに答えるのはクレス。




「ほかの転生者と旅をしたことがあるのか?」


さすがクレス。魔導士だけあって経験は豊富のようだ。

まるで賢者のような立ち位置だな。



「ええ……………ですが。その方は亡くなられてしまいましてね」


俺は、すかさず聞く。


「………モンスターにやられたのか?」


そしてクレスは続ける。


「いいえ、王国の暗部に暗殺されてしまいました」



――衝撃の事実が発覚!



 な…に………? ――暗殺だと!




 3人からいろいろ話を聞く。例えば異世界人の倫理と国の宗教が相容れないとか、貴族たちの地位を守るために活躍しすぎると、保身のためにそうするらしい。


 男性の場合は子孫を残すために様々な政策を行い、子供が生まれたら用済みと消されることが多いとの事。


 逆に女性の場合は、ある程度の地位の貴族の側室にして飼い殺すことが多く、叶わぬ場合はやはり毒殺などされてしまうらしい。




 余談だけど、スマホやら財布やらは目覚めた時にはなくなってた。


 異世界に持ち込めないように、おそらくあの幼女管理者サマによって没収されたのだろう。


 時代が時代なら軽い窃盗だぞ。


――こうして話は続いて行くのであった

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