召喚された男のブラリ一人異世界旅

ボストンクラブ

第1話


「今日も元気だご飯が旨い!」


鉄串に刺した肉を頬張り、鬱蒼とした森の中で元気に叫んでる私。

コレはコレは自己紹介遅れました、名前は長谷川真司。

この世界ではシンジって名前で活動してる一人旅の男です。


何でって……まぁ、異世界召喚に巻き込まれた新卒リーマンでしたがスキルが訳の分からない物だし、更には職業ってのがエラー表記でステータスもカス。

こんなの養ったら国のイコウガーなんて叫ばれて小銭片手に追い出されましたよ。


あ、でも王様筆頭に王妃様とか第一王女?様とかは「我々の都合で喚んでおいて何を申すか!」なんて怒ってくれたけどなんかお偉いさん方の数の暴力には勝てず、隠れて選別として幾つかのアイテムとか使えそうな物をくれましたとさ。


ちなみにこれは一ヶ月前の出来事。

ま、今日まで生きてこられたのは優しい王様一家のお陰ですよ。

何でこんなにのほほんとしてるのかって?いや、流石に何十の会社を落ちたら今更一社落ちたところでだし、それにさ……あの世界だって就職出来なかったらバイトとかで彼女作るのにも抵抗出来てそのまま孤独死とかで此処と変わらないっしょ。


うん、それくらい後ろ側の前向きで生きてみたら楽しくなっちゃって、それに異世界定番のモンスターを食べてみると私好みだったから野性的な孤独のグルメしてみようってなりましたよ。


あ、来客ですね。

多分ですけど私のさっきの叫びで食べに来たモンスターですよ。


「―――――――――!!!」


「確かヘルボアだったっけ?」


黒い毛皮に成人男性並みの大きさ、そして刺さったら抜けなさそうなかえしの付いた二つの角。

それが三体!今日はジビエ祭りだ!!!

さて、私のスキルは三つ。

一つは『神業解体師』

どんな生物でもどんな建物でも最速最高の解体手順が浮かんできて解体できる優れもの。

そして『料理の神様』

ま、字の通り料理に関して最高の能力って訳なんですよ!

そして最後の一つ……国から追い出すことが決定されたそれは……


「スキル『将』発動!

召喚指定『宮毘羅大将』!!!」


大体はスキル名で察して使い方を考えるけどこのスキルは一文字で意味が解らなく、ハズレとして捨てられたけどコイツが大当たり!


十二神将

仏教の凄い神様の使いだったっけ?そこら辺は詳しく無いけど小学生時代に実家の近くのお坊さんが色々教えてくれて、拗らせた時はそれを題材にした小説書いてたから名前くらいは覚えてたのよ。

で、スキルは自分の歴史的なの書いてる本があってピーンときて試してみたら正解。

このスキルは十二神将を使役出来る鬼スキルだったって訳。


今回呼び出したのは宮毘羅大将と言う修羅の様な顔の将で、俺より二周り近く大きい。

まぁ、そのかわり代償として……ね……


















『人よ、供物を捧げよ』


ヘルボアを秒殺した修羅の様な顔の宮毘羅大将は振り向き、俺の頭に話しかけてきた。

供物、つまり今回の戦闘の報酬を寄越せって話だ。


「宮毘羅大将、此度の供物は此方になります」


『麦の固め物か

間のは金麩羅であるか?』


「此方は西洋料理のフライを手製のタレとパンで挟んだ物

フィッシュバーガーと呼ばれる物でございます」


そう、使うたびにその将達に食べ物を献上しなければいけない!

あ、ちなみに金麩羅ってのは天麩羅の呼び方の一つで昔は卵を使ったのを金麩羅、使ってないのを銀麩羅って呼び方だったはず。


宮毘羅大将はフィッシュバーガー(ヘルボアサイズ)を片手で持ち上げ怪訝な表情をしているが大きく口を開け、一口齧るとすぐに食べ尽くしてしまった。


『此度の供物、西洋の揚げ物と小麦の固め物は善きかな

また困る事が有れば我を頼ると良い』


「有難き御言葉」


『……して人の子よ、このふぃっしゅばぁがぁなる物は他の姿に出来るのか?』


「は!西洋では肉を叩き各種野菜で固めたハンバーグ

金平を挟んだ物、他にも多数存在します

ですが宮毘羅大将は仏教の御方、故に獣食いは禁忌と思い魚を使わせていただきました」


『くく……安心せよ人の子よ

仏教と言えど西洋の文化を受け入れる懐は有る、それに過去では薬を食っている

決まりだな

人の子よ、次は山鯨のはんばぁがぁを捧げよ』


山鯨……良いのかよ……

まぁ良いのか、良いのかな?

宮毘羅大将は愉快そうに笑い、俺へリクエストすると光の粒となって消えていった。


ま、こんな感じである意味最強スキルの組み合わせで楽しく異世界孤独のグルメさせてもらってますわ。

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