第2話 かるたやってたでしょ!

なんで秋山に一緒にかるたやってもいいなんて言ったんだろ?教室を出てかるた部のある場所までの道のり俺はそんなことを考えていた。自分でも分からなかった。一度やめてしまったのにどうしてもう一度やってもいいなんて思えたのだろう?自分でも答えは出ていた。俺は、後悔している。かるたから逃げたのだ。なかなか勝負に勝てない自分に嫌気がさして逃げた。逃げたって何も変わらなかった。かるたから逃げない自分でいたい。そう思ったからもう一度かるたをやろうと思ったんだ。考え込んでいるとかるた部のある部室に着いた。ドアには新入生募集と書いてある紙が貼ってあった。ドアをノックし「失礼します。部活見学しに来ました。」そう言った刹那、かるたの札が顔に飛んだきた。かわそうとするのも時すでに遅し。当たってしまった。「蒼、大丈夫?」隣にいた秋山が心配そうに見つめる。顔が近いぞと思っていると「ごめんなさい、勢いが強すぎました。ケガありませんか?」「ええ なんとか」「紹介が遅れました。かるた部2年部長の岩崎優希です。」「1年3組の水瀬蒼と同じクラスの秋山優衣です。部活見学に来ました。よろしくお願いします。」そう挨拶すると「かるた部入ってくれるんですね!ありがとう!」そう言い満面の笑みを浮かべた。とりあえず部室の中に入り話をした。話す中で1回対戦しようという話に至った。俺は、一度やめてしまって強くないが部長の岩崎さんに無理やり押し切られ戦うことになった。15分の暗記を終えた。なにわづにさくやこのはな〜なにわづにさくやこのはな〜2回の序歌が詠み終わりいよいよ勝負開始だ。むらさめの~上の句が読まれた瞬間下の句の札がはらわれた。早い思ったが同時に恐怖を感じた。こんな人に勝てるのか?しばらくして勝負がついた。当然俺が勝てるはずもなく束負けした。容赦ないなあ悔しいなあと思っていると、「水瀬君、かるたやってたでしょ!まだまだ強くなれるよ!才能あると思う。」そう言われた。「才能」 俺が嫌いな言葉―

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