第5話 大変化の魔改造

「あらあら……どうしたの?」


「あなたは……?」


「おお!メアリー・アンじゃないか!」


長い黒髪をひとつの三つ編みにしている蜂蜜色の瞳をしたメアリー・アンと呼ばれる女性


「メアリー・アンってあんなのだっけ?」


「あ、あまり見たことないですけど…金髪だったような……」


「誰だメアリー・アンって……?」


私もだけれど みんなの中のメアリー・アンと違うみたい……1人分かってない人もいるけど


「この世界のメアリー・アンです…よろしくお願いしますわ」


お淑やかにお辞儀をするので全員つられてお辞儀をする


「そうだ、君はどうしてここに来たんだ?女王の世話係じゃないのか」


帽子屋の言葉に驚く


「あの女王の世話係!!?」


1日中「首をはねろーー!」それしか言わない日がある あの女王の?!


「ええ、まあ…世話係…と言っても何もすることはないんです。私は本を片付けることばかりやっていますわ」




「あの…白うさぎさんのところにいたはずでは?」


翠が気になっていたことを聞く


「白うさぎは今あなたの元にいますからね。私はお役御免ですわ」


「アタシか」


今はいないけどね!とキィが言う


「仕事が無くなってしまったので、女王のところに行ったのですわ」


「……で?女王のところにいるはずの貴女が何故ここにいるんだ?」


メアリー・アンは始終にこやかにしていたが急に真面目な顔になる


「女王がアリスを集めろ!…と言っていたので…」


女王が?さっき会っていたのに…


「なぜここがわかったんですか?」


食い気味に葵が問う


「街での騒ぎを聞きまして、街中探してもいなかったので…次に行くとしたらここかな……と。……何かおかしなことでも?」


……


「いや、なんでも」


「急にどうしたの葵?」


「気のせいかもしれないけど…何か変な感じがして……」


変な感じ……?


「何を難しい顔をしているんだぁ!女王なんてどうでもいいだろう!そんなことよりお茶会をしよう」


「そんなことって……私、首をはねられてしまいます」


話に割り込んできた帽子屋に戸惑うメアリー・アン


「まあまあ これでも飲みなよ、あ、これは眠りネズミの入ったコップだった」


さっきまで大人しかった三月ウサギまでお茶を勧めてくる


そして お酒でも飲んでるのでは無いかと疑うくらい大きな声とフラフラな足元で


「首をはねられたって死にゃしないさ!」


「そもそもグリフォンの話じゃ首をはねられた者なんていないらしいじゃないか」


おかしなことを言いながらお茶会コールをしている帽子屋と三月ウサギ


「と、とにかく!城に来てもらわないと困るんです!!」


本当に困るのだろう、メアリー・アンは焦っている


「わかったわ 城に行けばいいのね?」


「はい、それだけを伝えに来たのに……うぅ、なんだか疲れましたわ…」


帽子屋たちはマトモに相手しちゃダメよね…

そう思うアリスたちであった



そして……城に向かって行く



城の中は何も変わっていないが大きな変化があった



「女王!?」


「なぁに?」


変わっていたのは女王


「女王が細い…っていうか上からギュッてされた感じだったのに伸びてる!!!」


確かに4等身くらいだった気がするけど…今は……


「黄色のアリス……首をはねられたいのか??」


今の女王は紅いドレスに口紅、黒くて長い艶のある髪、スラリとした身体…大きなティアラ……そして美しい顔


数十分会わない間に何があった……?


整形と言うより改造の域だわ……


そう戸惑っているアリス達をよそに 女王は話し始める


「この城の中には鏡の間があるのだけど、そこへ行ってちょうだい」


「鏡の間……?」


今日は歩いてばっかりで疲れるわ……

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