第4話 森はじっとり

森の中……


「……!じめじめしているわ!!」


「言われなくてもわかる」


私は葵と行動している、理由は簡単道が2つにわかれていたのでさっき決めた組で探索中なのだ!


「1番ヒントをくれそうなチェシャ猫がいなくなったのは厳しいな…」


そう、チェシャ猫はどこかへ消えてしまった


消える前に


「私には色々制約があってね、あまり力になれないんだ。そうそう、アリス……君は君のままでいるんだよ」


そう言っていた


よく意味がわからなかったが チェシャ猫の事だ謎かけのような、ふかーい理由があるのだろう


「君は君のままで……か」


「……どうしたの?」


「いや…なんでもない。そうだ、1人の時、楽しかったか?」


1人の時……?


「ああ、不思議の国の事ね……まあ、そうね。楽しかったわ!本で読んだ世界とは少し違ったけれど…それでも 私のが詰まってた」


「現実世界のこと覚えてないのに夢……ね」


「覚えていなくても夢と分かるんだからこれは夢よ?あなたはどうなの?楽しかった?」


「……僕は…」


固まる葵


「どうしたの?」


「……分からない」


「え?」


「……分からない…夢なのは分かっていたけど、本…読んだことなかったし 僕の理想では無かったかな」


自分から話を振っておいてなんだか表情が暗い


キィと喧嘩してた時とは雰囲気が全然違う…


「うーん、現実でもそうだけれど…理想の世界に変えられるわよ?」


「……え?」


「楽しいことをやるのよぉ!もし現実ではできないことも夢ならはじけても誰も見ていないし!面白くないと嫌でしょ?」


現実ではできない楽しいこと……


ズキッ


「……。」


黙ってたらクール系美女のうるうる目!!


……って何故泣きそうなのかしら!!?


「な、何か私変な事言ったかしら!?」


「え?何が……あれ?なんで僕泣いて……おかしいな…僕……」


涙を拭うがぽろぽろこぼれ落ちていく


「僕、今絶対に変なやつだ……!どこに泣く要素があったんだ!?」


涙を流している本人が驚いている


「まあまあ、泣くのって恥ずかしい事じゃなくってよ?あくびをすれば涙は出るしショックなことー嬉しいことでも涙はでるもの!私って泣き虫だったみたい」


「あくびは関係ないだろ……はあ、変な事言うから涙引っ込んだ」


「それが狙いだったのよー」


「嘘つけ」


なんて、歩きながら話していると


「…?…あ、この道知ってる……」


「え、本当に?」


「ああ、ここを真っ直ぐ行くと……」


右にある道とは違う

腰ほどの高さのある草が生い茂る道とは言えない道を進む葵


「ま、待って」


やっとの思いで抜けると開けた場所に出た


「ここは?」


「あーー!茜!……と葵」


少し離れた場所で手を振っているキィちゃんと翠さん


「道繋がってたんだ…」


「いや、あのまま道なりに行っていたら確実に僕らは離れたままだ」


「あー、それもそうね……葵のおかげね!ありがとう」


「え、あ、うん……どういたしまして?」


褒められ慣れてないのか少し顔を紅くする葵


「ところで、どうしてこの道がわかったの?」


「えっ葵さんここ知っているんですか?」


「ああ多分ここは……」


忌々しいあの場所……!


「おお!来たか4人のアリスよ!!」


「「げぇ!帽子屋!?」」


茜とキィの言葉が被る


こんな状態で彼らに会いたくなかったわ…


大きな長方形のテーブルに人数には合わないほどの大量のティーカップやお皿……


帽子屋と三月ウサギ……


「俺の場所がわかるなんてぇ……アリス……いや葵……分かってるじゃないかぁ、えぇ?」


「行きたくて来たわけじゃない……」


帽子屋の顔を見ただけでゲッソリしているわ……どれだけ苦手なのかしら


「帽子屋さん葵とはどういうご関係?」


「葵はこのおかしなお茶会の常連なのさ!!」




「今までこんなのとずっといた訳?頭おかしくなるわ」


コソコソとキィが言う


「好きでいたわけじゃないっ……」


「な、何か理由があるんですか?」


……。


「単に居場所がなかったんだよ……ここしか」


「はあ!?ここの方が無いでしょ!!」


キィは大声で驚く


「おかしい……いいえ、変わった人苦手なんでしょう?」


戸惑いながら聞いていると木々の奥から人が現れる


「……あらあら アリスたちどうしたの?」


「あなたは……」

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