03 (目覚めたら身体が変わってました)
ガバッ……ドスッ
夢から目覚めたオレは起き上がろうとするも、手足がゴムバンドでベッドに拘束されていて 起きる事が出来ず、ガタガタとベットが反動で
しばらくガタガタして無意味と
ここは病院のベットの上だ。
窓側から光が差し込みオレを照らしている…。
が、よく見ると窓ではなく壁紙型の極薄ディスレイの映像だ。
ディスプレイには草原の映像が映し出されていて、まさか病院の外が草原と言う事もないだろう。
ベットの隣には机があり、空中に浮かぶ青い仮想ウィンドウとその下にキーボードがあり、白衣姿の女性が カタカタとキーボードを打っている…。
「おや目覚めたかね」
女性はキーボードの操作をやめて椅子をこちらに向けて…それが彼女の癖なのか足を組む。
「転生おめでとうナオト君」
そこにいたのは、夢の中に出ていたカレンだった。
姿は夢と変わらないが、今回は巫女姿では無く医者が着る白衣をまとっている。
「こ…こ…は?」
声に出してみるが、頭でイメージした音が出せなく雑音めいた音が出来る…。
それでもどうにかして、ゆっくりと言葉をつむぐ。
「こ…こ…は、ど、こ…だ?」
「ここは砦学園都市中央病院。
君には危険はないから、まずは落ち着きな」
病院?学園都市?
「その声帯は少し癖があってね。
今 学習させているからすぐに慣れると思うよ」
そう言うと、彼女はまた見えないキーボードを操作し始める。
「キミの話をしよう…。
ここは君のいた時代から580年後になる。
西暦2600年…
君は2020年に何者かに射殺されたが幸い脳は無事でね。
両親が巨額をはたいて君の脳を冷凍保存して、技術が発展して君を復活できる時を待っていたそうだ…良い親御さんじゃないか…。」
「………。」
カレンは少し
「だけど 冷凍保存された君の脳を管理している会社が、その年の世界恐慌で経営破綻してね…。
その後どういう訳か別の会社が引き継ぎ、君の脳は南極の永久凍土に
まぁあ あそこなら維持費も掛からないだろうしね…。
君の他にも いくつか脳があったんだが、他の脳は保存状態が悪くてね…比較的保存状態がよかった君の脳を回収して身体を作って入れてみたんだ。」
「サイボーグか?」
拘束された体を見渡すが機械特融のメカメカしさはなく、生身と見分けがつかないレベルだ。
「おおむね正解。
人のすべての部品を人工的に製造して、生体機能は完全に再現して人間をシステマチックに再設計した身体だ。
アタシは
カレンは、仮想ウィンドウから鏡を実体化させナオに向ける。
そこに写るのは20歳のオレでは無く 13歳位のまだ幼さが残る顔だった。
身長も150cm位か…。
170cmだったオレからすると、かなり小さい。
「で、オレはどうすれば?
別に善意で助けた訳じゃないんだろ」
ナオがカレンに首を向ける。
カレンは鏡を仮想ウィンドウに放り込んで 緑色の粒子になって消え、ストレージ内に戻す。
「まっその通りだ。
今言った通りその体は特別製でね…この都市では君が最初になる。
正直どんな危険が存在しているかわからないし、民間におろすには圧倒的にデータが足りない状態なんだ…どんな形でさえ人体実験は必要だからね。
君に頼みたいのはそのデータ集めに協力してもらう事…。
なぁに定期的に健康診断を受ける位の簡単な事さ、何か違和感があるなら最優先で直せるしね」
そういいながら、白衣のカレンは拘束バンドを外しにかかり、代わりに右腕にリストバンドを付ける。
「そのリストバンドは外さないでくれよ。
君の位置を追跡させる信号とバイタル情報を常に送信し続けている。
君はまだヒトと認められていないし、社会保障番号もない。
今日中に申請しておくから 明日まで病院から出ないでくれ。
まーお疲れさん今日はゆっくり休むんだな…明日また来よう。」
そう言ってカレンは病室を後にした。
(脳だけのコールドスリープか…。)
ナオは起き上がり、身体を動かし始める…。
身体はまだ、まともに言う事を聞か無い。
それでもどうにか起き上がり、立ち上がる。
姿勢が保てずバランスを崩し、地面に倒れる…。
(リハビリが、きつくなりそうだな…。)
翌日オレは、人生2度目になる幼稚園に入学することになった。
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