カミさんの拙作評

 最近ですね、やはりと言うか何と言うかカミさん全然拙作を読んでなさそうなんですよね。


 で、恐る恐る、恐々こわごわ、まるで捨てられた子猫のように震えながらカミさんに問うたわけです。オイラの書き物はどうよ、って。



「あー、あれ? あれ、登場人物のとこ読むのでめんど臭くなっちゃってさ。長いよねあれ。読み難い。ダルい」



 あ、それは「偽りの星灯火ほしともしび」のことですね。つまりまだ第一話すら目を通してないということですね。分かりました。

 うーん、やはり読み難いかあれ。リライトしちゃおうかなあ。



「あと、同性愛のやつはね、ちょっと読んだ」



 はい、「偽りの星灯火ほしともしび」も百合ですが、それはきっと「海の向こうに」のことですね。



「あれはさああああああ、同性愛がどうとか言うんじゃなくて、アラサーが女子高生と、とかおかしくない? ねえ君おかしいと思わない? もしかして男の人ってそうなの? 三十にもなって女子高生といちゃいちゃしたいのデートしたいのガチ恋したい願望とかあるの? ねえ、どうなのどうなのそれ?」



 おおう。鋭いツッコミですネ。

 まあ自分に置き換えてみても、さすがにリアルに三十代で女子高生と交際しようとは思わないし、実際意思疎通とか相当困難そうですよね。


 ……いや、フィクションならありか……いやいやいやいや!



「いやそれはね、僕の好みどうこうじゃなくてね、世の中には『関係性萌え』とか『萌え属性』というものがあってさ。このお話では『歳の差』って『萌え』を入れてみたの」



「ん? 君さ萌え好き? 歳の差百合萌え?この間もまたなんか見てたよねCSで、カワイイ女の子ちゃんが出てくるやつ」



 あいたたたたた。それはまちカドまぞくの一挙放送ですね。しかもあれは歳の差要素はない。完全にとばっちりです。これは回避しないと更なる追い打ちがくるパターンです。



「い、いや、それは僕の話じゃなくて。いや、それはね、別に嫌いと言う訳じゃな」



「好きなんだ」



「あっ」



 不覚。



「と、と、ところでエッセイの方は読んだ? 『川鵜の羽干し』って変わったタイトルなんだけど」



 必死で誤魔化します。



「え、全然。カワウって読むんだ」



「これは文章も比較的ライトだし、あまり書いてはいない割に評判はいい気がする。特にあなたについて書いた話は、コメントでもよく書いてくれているよ」



「ええー、勝手に書かれちゃ困るなあ。どれどれ見してみな…… ふんふん『ほっこり』なの? へー、良かったね」



 いや、あなたのことです。



「やっぱりさあ、もったいつけてないでこういう文章がいいんだよ。他のお話もこういう風にすればいいのに」



 ぐさっ。



「それが出来れば苦労しないです」



「じゃあ、まあこれは読んでみようかなあ」



「あとね、『君のいない夏』ってのも最近書き始めててね。読んでない?」



「ん? あの気合い入れて書いてたアンドロイドの?」



 それは「偽りの星灯火ほしともしび」。



「あれ? じゃあアラサーと女子高生の……」



 それは「海の向こうに」。



「じゃあ読んでないや。今度読んでみるね~」



 軽いなおい。この様子じゃ読みそうにはないなあ。感想や評価を聞くのって結構ためになるんだけどなあ。




 さあ、これでカミさんは「君のいない夏」を読んでくれるのでしょうか?



 それは私にも判りません(笑)

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