少女の告白

「多分君が聞きたいのは私がどうして鼻血を出したかだよね。多分、恵が思っているような理由ではないと思うけど、それでも聞きたい?」


「聞かせてくれるのなら」


 それを聞かないと安心して夜眠ることは出来なくなりそうだしここは大人しく聞いておきたい。


「私がこんな状態になったのいつからだったかな」


 これは長くなりそうな予感。


「そう、確かあれは中学生のころの話。まだ恵と出会う前のことかな。その時に私は歩いていた。当時私は、どんな道を使ったら一番早く目的地に着くかを調べるために、自分の生活圏のあらゆる道を歩き回って調べていたの。それについては時間まで計測して調べてみたけど、大きな道を使うのと大差ないというちょっと意外で残念な結果に終わってしまったわ」


 自虐を入れて済ました顔をしているが今している話と果たして関係があるのだろうか。


「な、なあ……」

「話させてあげよう。本人が話したいと思っていることだし、あの顔は絶対にただ言いたいだけ。だから腰を折ったら、すごく悲しそうな顔をする」


 小声で荒川がアドバイスをくれた。美海が話したいのなら聞くことにした。どうせ時間はあるのだから。休日は無駄な時間の使い方をできるからこそ休日と言えるのだ。


「そして私とあれの出会いはまだそんな悲しい結論に到達する前の話。その日の夕方私はいつものように道を探すべく歩いていた。場所はマンションの近くの公園。そしてそこには結構隠れられる場所がある。その日少し疲れていた私はその公園で休憩をとることにした。自販機で買ったか近くのコンビニで買ったかは忘れたけど、ジュースを買ってベンチで飲んでいた。そんなとき高校生っぽい2人の学生がやってきた。その二人は妙に仲睦まじくて会話も特別な関係にあることをにおわせていた。二人ともいい笑顔だったよ。でも当時の私は愚かなことに本来尊ばないといけない2人のことを気持ち悪いって思ってしまった。でもどういうわけか興味がわいてきた私はそっと2人の後をつけることにした。そしてその広い公で夕方にもなると誰も寄り付かないような場所があるんだけど、そこで二人は暑い口づけをし始めた。確かその時の会話はこう。どうやら僕は君のことが好きになってしまったみたいだ。ああ、俺もだよ。だからこんなところまで来ているからなんとなくわかっているかもしれないけど、そのいいか? いいよ。今日は僕のこと好きにして。代わりに今度は僕が君のことめちゃくちゃにしてあげるから。と、こんな感じだった」


 まて、今なんかすごく背中がぞわっとした。これを悪寒というのかな。


「そして2人はズボンを脱ぎだしたの。私は木陰に隠れてその様子を見ていた。日は沈みかけていて見にくかったけど、街頭のおかげで少しは見えたし、周りに何もないおかげで声は鮮明に聞こえたズボンを脱いだら次は当然、パンツを脱ぐのかと思った。私はこの時点ですごく気持ちが悪くて、もしその時携帯を持っていたら通報していたかもしれない。でも私は持っていなかったからその神聖な行為を邪魔することがなかった。中学校が携帯の持ち込みを禁止だったこと感謝しているの。すごく、本当にすごくね。

 そして私は見た。二人の股には何かがぶら下がっていることを。当時は本当に気持ち悪いと思っていた。そして片方はそのぶら下がっているものが次第に大きくなってきてあろうことか四つん這いになったもう一人の方に入れ始めたの。びっくりした。本当にびっくりして声も出なかった。でも2人はいくぞとか、喘ぎ声というかそういう気持ちのよさそうな声を出していた。確かにさっきの言葉通り、片方はもう片方にめちゃくちゃにされていた。私はその場から逃げ出した。で、家に帰って少し考えた先にあれはなんて尊いのかと思い始めた。私はそこから男と男の恋路、つまりボーイズラブ、あるいはBLと呼ばれているものを崇拝するようになった。私はもう一度、あんな光景を見てみたい。できることなら知り合いでそのような光景を見てみたい。でも私自身は女でボーイズラブは出来ない。あきらめていた。でも神様は私を見放さなかった。きみのことだよ、恵。男から女に変わった人を男とむずびつける。これも立派なボーイズラブに該当するのではないか。そんな気持ちもあってさっきみたいな行動をとったの。悪意はないんだけど、怖がらせていたらごめん」


 その長い語りを俺はどう聞いていたらいいんだ。


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というわけで美海の語りは何とか1話で終わらせることができました。後一話分かいたら主人公たちは学校生活に戻ります。そして話を長くした都合で少し読みにくくなっています。申し訳ないです。一応、美海は主人公に自分のことを暴露、告白しているわけですのでこういう形をとっています。

それにしてもボーイズラブは中々刺激的なジャンルですよね。特にオメガバーズというものは一体誰が考えたのだろうかと初めて知った時かなり驚いた記憶があります。僕は天と地がひっくり返ってもあれはかけないですね。

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