第12話   魔法を覚える方法は?

暫くして落ち着きを取り戻す総長達。


アリーシャ「皆の喜びは分かるが、

    くれぐれも内密に頼むぞ?

   ミカゼ様にはその『可能性』がある

   と言う段階なのだからな、、、

   民は今、日々明日にでも

  終わるのでないか?と言う不安と

  戦っている、そんな中『可能性』の

  話で、我々が要らぬ混乱を招くのは

  避けねばならない、、」


可能性の話でも国民の不安を取り除く事が出来るのならば国民に報告した方が良いと思う総長も中には居る

今の自分達の様にコレからの未来が明るく輝くものだと信じられるのだから


しかしそれは、


直人が最初の

    【希望】だったのならそうだろう


だが、ファーシンア国には過去何度か異世界からの来訪者が居て、全て【強者】ではあったが、【救世主】では無かった。


だからこそ救われると信じる者とまたか!と疑う者とで抗争に発展しかねない程に、ファーシンア国民の心は今、【不安定】なのだ。


それを証明するかの様に怪しい宗教が出現し、勢力を伸ばしつつあるのだから


事は慎重に行わなければならない


アリーシャから改めてニースの現状を聞かされ、今すぐ発表を!と思っていた総長も思いとどまり、先程の浮かれた表情から神妙な表情へと変わる総長達一同。


アリーシャ「では、皆が納得した所で

     詳しい中身をニアの方から

     説明して貰うニア宜しく頼む」


ニア「はい。

   では、ミカゼ様の

  【魔力操作及び属性魔法取得】方法

   についてご説明致します。

 現在ドリアード族2万人を導入致しまして

   ミカゼ様の魔力に適応する場所での

   耐魔設備作成と魔法陣を

   急ピッチで造築中です」


2万人!?と誰かが小声で驚く声が微かに聞こえたが、予想以上に大規模な設備になりそうな事に改めて事の重要性を認識する総長達。


ニア「通常ならば、

   幼少の頃から魔力の増加に

  合わせて、指導者が体内魔力を操作して

   教えて行く技術ではありますが、

   ミカゼ様は既に膨大な魔力を

   持っていますので、アリーシャ様でも

   ミカゼ様の魔力を導く事は不可能です。

   しかしながら、

幸いにも大雑把ではありますが、魔力操作は

  多少出来てるので、ミカゼ様ご自身で

  調整を学んで頂く予定です。

  具体的には、アリーシャ様がミカゼ様に

全力で最強魔法【トルネードディザスター】

 を極地的に発動させて頂き、皆様方には、

 アリーシャ様の魔法を

     強化して頂きたいと思います」


総長一同

「「「「「「「はぁ?」」」」」」」



ニア「驚くのは無理の無い話ですが、

   このエルフ族最高の戦略級魔法

   は、精密な魔力操作と威力を

   兼ね備えた最も今回の作戦に適した

   魔法になります

   想定した時間は10分程ですが、

   ミカゼ様が技術と風魔法を取得

   出来るかは

   ミカゼ様にしっかり伝わる程に

   強力な魔力を出し続けられるかに

   かかっています

   ですから

   最初から全力でミカゼ様を【殺す】

  事だけを考え、出し惜しみ無く

   実行して下さい。

  リアリナ様の想定では、魔法陣で

  増大されたアリーシャ様の魔法を

  更に皆様方の全力を合わせて

  ギリギリのラインとの事です」


所詮は教えるだけと内心油断していた

気持ちが消し飛ぶ

これではまるで、、【戦争】だ。


尚もニアの説明は続く。


ニア「幾らミカゼ様が強くとも

  デーメステーエル神様のダンジョンは

  属性魔法無しでは困難を極めます

  ですから、是が非でも

  ミカゼ様に魔力操作及び風属性魔法を

 取得して貰わなければいけないのです!」


語尾を強めて言い切ったニア


アリーシャを含め真剣な眼差しでニアを見つめる総長達。



ニア「この作戦は困難を極めます

   場合によっては、

   ミカゼ様の魔力の波動が暴発した結果

   ここに居る全員が【死ぬ】可能性も

   あります。

   そんなリスクのある作戦ですが、

   エルフ族の中でも飛び抜けた

   高い魔力と技術を持った

 あなた方総長全員に参加の有無の選択肢は

   残念ながら、、」


ノルガ「愚問ですよニア殿」



スレイ「ええ、我等総長は何の覚悟も無しに

  この場所に座ってる訳ではありません」

   

レイラ「生まれた時から

   デーメステーエル神様の加護を頂き、

   今もご自分より我等を第一に

   守って頂いてるだけの存在だった

   私達にやっと

   チャンスが来たのです!」   

   

イリス「デーメステーエル神様を救いたい

    気持ちは誰よりも強いんです!」


メリル「ミカゼ様に託す事しか出来ない

   脆弱な私達ですが、

  せめてこの気持ちだけでも魔力に乗せて

   ミカゼ様に届かせる事が出来るなら

    悔いはありません」


ラライ「幼少の頃は高い魔力で

   苦労もしましたが

   高い魔力を持った事に

   ようやく感謝出来ました。

   全てはこの時の為だったのですね」


ソニン「一世一代の晴れ舞台が

   デーメステーエル神様の為だなんて

 歌風族長の冥利に尽くってもんだよね!」


アリーシャ「ニア!何故!

   自分達ドリアード達の事を

   ほっといて私達エルフ族の

       心配をしてるんだ!!」


アリーシャの言葉にニアはギョッとした表情となる。

   

アリーシャ「当然の様に

   我等の事を心配してくれるが、

  我等エルフ族の最強の精鋭とはいえ

  たった【8名】の犠牲に比べ

 君達ドリアード族は現在作業中の者たちを加えて作戦中は他に被害が及ばない為に

  最大級の防御陣を展開するんだろ?

  私の予想では数万人が自らが肉壁となる

  んじゃ無いのか?そしてそこには

  ニア、、キミも含まれてる、、違うか?」


アリーシャの言葉に他の何人かの総長がハッとしニアの事を見つめる。


ニア「流石ですねぇ、、

   デーメステーエル神様の加護が

   弱ってる筈なのに、、

   そうです

  アリーシャ様の言う通り、ドリアード族

  4万5,672名が今回の作戦に参加します。

  その中には、私を含め、皆さん総長の

  秘書を担っていたドリアード族も

  含まれます」


スレイ「リリもか、、」


イリス「ミッちゃん、、」


スレイやイリス以外にも自分と共に苦楽を共にしてきたパートナーも参加する事に、悲しみが込み上げてくる。


ニア「はい、、

  本当に私達ドリアード族を

  皆様には大変良くして頂きました。

  まだ、作戦には明日一日準備に

  掛かります。

   どうか、あの娘達に声を掛けて

   あげて下さい」


そう言って頭を深々を下げるニア。

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