まず分かったのは、

こちらの絶望的ぜつぼうてき状況じょうきょうばかりだった。



人間は圧倒的あっとうてきな物量にくわえ、

魔法と呼ばれる半場反則的はんぱはんそくてきな力まで

使えるらしい。



魔族もそれ以上の強力な魔法を

使えたらしいのだが、

それを使える魔族の将軍のほとんどが、

先の戦いで戦死したらしい。


魔王である俺にいたっては、

力はもちろんまったく魔法を使えないありさま。


魔族は力だけは人間より強いらしいが、

それ以上に絶望的なのは、

魔族に武器を生み出す技能が、

欠如けつじょしている事だ。


力が強いものが世界を征服せいふくするなら、

とっくの昔に人類は猛獣もうじゅうに、

支配されているはずである。


そうならないのは、人に物を生み出し、

武器にする力があるからにほかならない。



戦闘力でも圧倒的あっとうてき不利ふりにたたされていた。



それでも魔王として降臨こうりんした俺は、

自分に特別な力がないかと思い、

侍女じじょのダークエルフと腕相撲してみたが、

呆気あっけなく負かされた。



「次期魔王はそなただな」

などと言って見たら、

冗談じょうだんだと受け取られる始末しまつだ。


人間の社会でも小さなコミュニティーでは、

今でも力は有効な手段だが、

こと総力戦ではその意味は薄まる。


そして何より絶望的なのはその物量だった。


魔族は永遠とも思える寿命じゅみょう依存いぞんし、

子供は100年に一度くらいしか

産まれないらしい。



それにくら寿命じゅみょうの短い人間は、

次々に子を生み出し、

その人口比じんこうひでは圧倒的に差をつけられていた。


そしてこうしている間も、

差をつけられ続けている。



魔王の俺にいたっては、

ステタスを視覚化すると、

大体こんな感じだろう。


職業:魔王

せいべつ:男


HP:1

MP:1

力 :1




無理ゲーもここまでくれば笑えない。


勝てる要素ようそはどこをとっても無かった。



ただ俺の軍師ぐんしとしての采配さいはい以外は。




世界最弱が全人類にいどもうとしていた。


 

 

 

 

 

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